「流行りだよね」と言わせないために成功したい
「起業のきっかけはノリでした。でも、実際に起業してからは『就職した同年代の友だちに比べたら自分はどうなんだろう?』と悩んでばかりでした」
起業に関してよく耳にする、お金や人間関係におけるハードシングスが、就業経験がなかった尾崎を追い詰める場面は容易に想像できる。それでもDINETTEを続けられたのはなぜか?
「性格的に、後悔したくないタイプなんです。だから、いつも自分が選んだものを“正解”にしようとするところがありました。起業したことを後悔したくないから、悩んだり失敗したりしても『これも経験!』『何かの役に立つから大丈夫!』というマインドで何とか凌いでいました」
そしてもう1つ、尾崎がDINETTEを続ける理由がある。それが「女性が起業しやすい風土を作りたい」という思いだ。
「『#GIRLBOSS』(CCCメディアハウス)という本があります。これは、社会保険料も払えなかった20代前半女性が、自分の古着をeBayで売り始めたことをきっかけにECショップを立ち上げ、その後、アパレルブランドを成長させて企業価値100億円超になる実話です。これを読んだとき、就業経験がなくても起業で成功できるんだと初めて知りました。
日本にも、女性起業家はいます。しかし、その多くが名だたる外資系企業などでキャリアを経て起業し、成功したパターン。私は何のバックグラウンドもないけれど、『好きなこと』を突き詰めれば起業してもうまくいく事例になりたいと思ったんです」
D2Cがトレンドになりつつある世の中の風潮も、尾崎を焚きつける。
「女性起業家のコスメブランド、かつD2Cとなると『流行りだよね』というイメージがつきまといます。それを払拭するためにも、今年中に10〜20億円の売上にするくらいハイスピードで成長させていきたいですね」