ビジネス

2020.03.31

流行りと言わせない。DINETTE 尾崎美紀が「コスメ事業」にかける思い

DINETTEの尾崎美紀


第1弾プロダクトが「スキンケア商品」な理由


DINETTEでマネタイズができるようになった頃、尾崎はある決断をする。それが、プライベートブランドの展開だ。これは「美容好き」を公言する尾崎自身が、起業当初からやりたいと考え続けてきたことでもあった。

「何の実績も知名度もない企業がリップやファンデーションを販売しても、お客さんは『えっ?』となるじゃないですか。うまく流通させるには、ある程度のファンが必要。それもあって、先に動画メディアをスタートさせていました」

ようやくプロダクト作りに踏み切れる。そう思ったのが、創業2期目。すぐに化粧品業界の知り合いをつたって工場探しに乗り出した。

そして、2019年2月にコスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP」が誕生。しかし、第1弾プロダクトはまつげ美容液、第2弾プロダクトはフェイスマスクだった。なぜメイクアップではなく、あえてスキンケア商品なのか。その理由を、尾崎は「ニッチな領域だったから」と語る。

「何千億円もあるコスメ市場のなかで、まつげ美容液の市場は50億円ほど。そのため、まつげ美容液に注力している競合ブランドはほとんどありません。世の中でも『お気に入りのリップは?』と問われれば、1〜2つほど答えられても、『お気に入りのまつげ美容液は?』という質問にすぐ反応できる人もほとんどいません。

だからこそ、最初に攻めておく。そして、サブスクで会員数や売上、ファンを蓄積してから、リップなどのレッドオーシャンに挑んでいく。まつげ美容液は、そのための戦略でもありました。

それに、まつげに関しては『もっと長くしたい』『濃くしたい』などのニーズも顕在しています。これまでは美容院でエクステやパーマをかけている人もいましたが、直近では新型コロナウイルスの影響で、自宅でケアできるものに対するニーズも高まっています」


(左)フェイスマスク (右)まつげ美容液

さらに、美容動画メディアを続けていくなかで「ファンデーションのノリを良くするにはどうすればいいのか」「肌をきれいに見せるにはどうすればいいのか」など、“素材”の質をあげるハウツーを知りたがるユーザーが多かったことも大きな要因だった、と尾崎は言う。

まつげ美容液は、販売を開始した翌月に完売。この手応えを受け、フェイスマスクのほかにも、2020年には様々なプロダクトをローンチする予定だという。
次ページ > 「流行りだよね」と言わせない

文=福岡夏樹 写真=小田駿一

ForbesBrandVoice

人気記事