見えているその遠近感は真実か? 3Dプリンターは「錯視」も出力する

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美術史における遠近法


美術史において、遠近法の仕組みが発見されたのは比較的最近のことだ。14世紀以前には、現在の我々のものの見方を利用し、美術作品の中で写実的に3Dの世界を描写する試みはゼロか、それに近いものだった。

アナモルフォーシス(絵画による歪像)の第1号とされるのが、先史時代に描かれたラスコーの洞窟壁画である。洞窟を斜めから見ると、壁画が歪んで見えるからだ。とはいえ、アナモルフォーシスを画法に採り入れた現代画家として真っ先に有名になったのはレオナルド・ダ・ヴィンチで、1485年のことだった。

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( Aniqa Ajmal / wonderfulengineering.com )

このアナモルフォーシスの技法を取り入れた作品で、おそらく最も有名だとされるものは父親と同じ名を持つ画家、ハンス・ホルバインの作品『大使たち』だ。正面から見ると、絵画の下部から斜め上に向かってねじれた物体が描かれているのが特徴である。だが、絵画を斜め下から見ると、その物体はドクロと化すのだ。

(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものです)

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

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