ライフスタイル

2021.07.09 08:30

見えているその遠近感は真実か? 3Dプリンターは「錯視」も出力する

Getty Images

Getty Images

下の写真では、立方体の上に硬貨が積み上げられている。ならば、あなたは写真で見たもの、イコール、事実だと思うだろうか? 実は違う。この机の上にあるものすべてが、見た目どおりとは限らないのだ。

ここでは、ちょっとした「アナモルフィックな(歪曲的な)」錯覚が起きている。ひねくれ者の錯覚作用によって、どこから見てもいびつな形をした平面のものが、ある角度で捉えたときには、完璧な立方体に見えるのだ。

null
( Aniqa Ajmal / wonderfulengineering.com )


3Dプリンターで作る錯覚


サガ・ハンセン(Sage Hansen)氏は去る12月10日、テキサス州の自宅で動画を制作していた。3Dアニメーターである氏はこう語る。「3Dソフトウェアで仮想の立方体を作って、カメラアングルを設定しました。次に、位置も角度も決めずに適当にいくつも線を描いて、カメラの視点内で調整しました。それから線を太くして、照明効果を弱めるために角に丸みをもたせたものを3Dプリンターで出力したんです」

null
(Aniqa Ajmal / wonderfulengineering.com)

本物の箱に見えるのは、ある角度から捉えた場合だけ。位置がずれるとすぐさま箱の形ではなくなるので、錯覚だと気づく。

null
(Aniqa Ajmal / wonderfulengineering.com)

Hansen氏が3Dデザインによる立方体を1つ完成させるのに必要な時間は、2時間半だ。「見せかけの遠近法を利用したチョークアートを眺めるのはいつでも楽しいです」と氏は述べる。「初めて3Dプリンターを手に入れたのは2014年です。3Dプリンターはあっという間に進化し、ずいぶんと改良されていったので、2016年に今のプリンターに買い換えました。この立方体のアイデアを思いついたのはある日の夜中でしたが、私は起きてオンラインで検索しました。検索してもこのアイデアは見当たらない。そこで、このアイデアを具現化したら面白い挑戦になるだろうと思ったのです」。

null
null
 (Aniqa Ajmal / wonderfulengineering.com)

次ページ > アナモルフォーシス(絵画による歪像)の始まり

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事