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RTB Houseの日本法人で立ち上げ当初から参画した高橋君成

初月の売上2万円──。これをたった2年で年間数十億円規模に。1人でスタートした日本法人が20名に(2020年5月現在)。強大な先行者が存在するレッドオーシャンにおいて、後発でありながら、圧倒的な成長スピードを誇るRTB House日本法人に起きている奇跡のストーリーとその戦略に迫る。


「先日電通から発表された「2019年日本の広告費」で、インターネット広告費が2兆円を超え、『ついにネットの予算がテレビに勝った!』と話題になりましたよね。そのインターネット広告費の2兆円市場のうち5,544億円がディスプレイ広告市場となり、さらにその中に分類されるリターゲティング配信という分野で、当社もいままさに伸びています」

こう語る高橋君成は、世界規模で成長するアドテク企業・RTB Houseの日本法人で2018年からの立ち上げに参画し、現在も事業を先頭で牽引する。同社は2012年にポーランドのエンジニアたちによって設立され、その独自技術が強みを発揮しているのは、高橋の説明するとおり、ディスプレイ広告の中でも特にリターゲティング広告配信と呼ばれる分野だ。

ディスプレイ広告とは、ウェブサイトやアプリの広告枠に表示される広告のことで、多くのユーザーが日々、目にしているもの。そしてリターゲティングとは、一度興味を抱いてアプローチをかけてみたもののコンバージョン(購買)には至らなかったユーザーに向けて再び広告を表示する手法だ。適切な対象に、適切な内容の広告を、適切なタイミングで配信するという課題を実現させ、高い効果を実現させる。

RTB Houseの日本での販売パートナーであるフィードフォースの取締役・喜多宏介氏は、「ラストクリックでの成果保証やSmart Capping機能は広告主に寄り添った内容。先行他社とは違って、かゆいところに手が届くのがRTB Houseのソリューションなので、弊社の顧客にも紹介してみたいと考え、一気に拡販しました」と評価する。

RTB Houseは、ディープラーニングを活用する新たなアルゴリズムを導入することにより、この3つの課題を高度なレベルで達成できるソリューションを開発して、まず欧州市場で大手クライアント企業を多数獲得。続いて2015年には域外への進出にも乗り出し、すでに南北アメリカやアジア太平洋などに展開して、アディダス、ニューバランス、トリバゴ、セフォラ、リクルート、楽天、ニッセンといった幅広い顧客を擁してきた。

テクノロジーと戦略でジャイアントキリングを起こせ


世界規模ではグーグルやフェイスブック、日本国内でもヤフーといった“巨人”が君臨する一方で、それより規模の小さいさまざまな企業も数多くひしめいているのがネット広告市場。競争が激しく利益を挙げることが難しいレッドオーシャン状態にあると評されることも珍しくない。国内のリターゲティング分野に限って見ても、米国発のAdRollは日本事業を楽天に売却し、インド発のVizury Interactive Solutionsはすでに日本から撤退している。

そんな厳しい環境の中でRTB Houseが独自の足場を固めて急成長を続けているのは、高度なAI技術の導入によってテクノロジー面での優位を確保し、その上で広告主への成果保証を充実させるというビジネスモデルゆえだ。だが、同社の目覚ましい成長に目を向けるとき、もうひとつ、見逃せない要因がある。適切なソリューションを適切なクライアントに提案するセールスの強さだ。

それは日本においても例外ではない。冒頭に登場した高橋は、同社の日本法人の第1号社員として組織の立ち上げから営業手法の確立までを手掛けてきたキーパーソン。18年1月に事業をスタートした直後は「初月の請求総額が2万円」という状態だった売上を丸2年で数十億円規模にまで伸ばした実績を持つ。このロケットスタートの基盤として、高橋が常に念頭に置いてきたのはPMF=プロダクト・マーケット・フィットだ。

“良好なマーケットに、そのニーズを満たす良好なプロダクトがある状態”を指すのがPMF。高橋は営業活動において、このPMFの実現を目標に掲げ、RTB Houseのプロダクトに対して強いニーズのある業種=マーケットに浸透するための策をさまざまに考案し、実行した。

「当社のプロダクトはSKU(取り扱い品目)が多い業種に特に向いていることがわかっていたので、セールスはまずアパレル(ファッション)通販を軸として、不動産、旅行、人材といった業種に拡げていきました。今では売上の6〜7割をこの4業種が占めています」(高橋)

それぞれの業種=マーケットを押さえていくためには、「各業種でトップクラスのクライアントさんを必ず獲得する」ことに注力した。「そうすれば、同業他社さんも当社に興味を持ってくれる」からだ。また、複数の事業を展開しているクライアントの場合、「まず不動産事業で効果を実感してもらった後、『人材事業の方でも活用していただけますよ』と声をかける」やり方も有効だった。

米国のアドテク企業Liftoff Mobileの日本・韓国カントリーマネージャーで、かつて高橋の上司だったこともある天野耕太氏は、RTB Houseの日本事業の好調について、次のように分析する。

「すでに先行者がいて、ニーズが顕在化している市場にフォーカスして、プロダクトや販売を変えて行ったところが勝因なのかなと感じています。特に、リスクの小さい課金体系にして営業したことで、すでに先行サービスを使っている顧客を中心に『試して損はない』と感じてもらえたことが点は大きいですね」

高橋も「最初は『まず効果を実感してください』というお願いを徹底しました」と語る。クライアントを増やしてきた結果、最近では、既存クライアントで挙げた実績・実データを新規セールスに活用できるようになった。その結果、高額なソリューションが多く売れるという効果も出ているという。

もちろん、日本での事業展開が当初から順風満帆だったわけではない。特に、たったひとりの社員だった高橋は、営業のみならず人事(採用)や総務、PR活動といった業務も兼務しなければならかった時期があり、そのころは白髪になったり、円形脱毛症を患うほどだった。だが、こと営業面に関するかぎり、高橋が牽引する日本法人の成績は目覚ましいものだ。RTB Houseの売上の国別シェアでは、中国やインドを含むアジア太平洋地域でトップに立ち、世界全体でも3本の指に入る。また、売上の国別伸び率ランキングでは2年連続で世界1位の座にある。

「RTB Houseに入ることを考えたころから、年間100億円・月間8億円の達成がひとつの大きなマイルストーンだと捉えてきました」という高橋は、それが日本での事業開始3年目となる今年の末には実現する見込みだと明かした上で、こう続ける。「社員も僕ひとりから20名まで増えました。売上100億円となるころには40〜50名になっているはずです」。

「圧倒的なスピードで成長したい」


高橋その人は、1988年生まれで大学卒業後、リクルートを経て、アドテク業界に転じたというキャリアの持ち主。2014年、最初に転職した先は、RTB Houseと同じリターゲティング市場で先行していたフランス系のCriteo。その後、転職したスタートアップ企業に在籍していた2017年の10月、現在はRTB House APACのマネージング・ディレクター(社長)を務めるヤクブ・ラタイチャクから声をかけられ、日本法人の発足に加わった。

「新卒で就職するときも、その後も、テクノロジーや外資系企業には興味がなかったんです。あったのは、『成長したい!』『上に行きたい!』という意欲。ただ、テック業界では急拡大する市場と一緒に自分も急成長できる可能性があるし、40代、50代にならないと部長になれないという日本企業のような縛りが外資系にはないでしょう?だから、テック系の外資、それも立ち上げステージにあるような企業に転職しようと思いついたんです」

RTB House Japanの今後の人材の採用にあたっては、自身がリクルート出身者・Criteo出身者であることを評価され、自らも幸せだと感じているように、現在の社員にとって「RTB House Japanで仕事をした経験が今後のキャリアにとってプラスになる」ことを目指しているという。自分自身は、1週間に100時間以上働くウルトラハードワーカーだが、これは決してRTB Houseの働き方文化ではないという。

「外資系テック企業というと、『仕事は面白いけれど働き方はハード』という印象があって、実際、そういう知り合いもたくさんいますが、それはアメリカ系外資の話かなと、最近は思っています。ヨーロッパ系はちょっと違いますよ。弊社のマネージング・ディレクターのヤクブは3人の子供のよきパパで、ほとんど定時に帰るし、日本人の社員でも僕みたいなのは自分一人だと思います。40代、50代の社員もいますしね」

高橋はそう軽やかに口にする。前述の天野氏も、「とにかく明るく、ポジティブ。良い意味で人たらしですね。スピード感をもって物事に取り組むので、少し大きな規模の前職で働いている時からスタートアップ向きだと思っていました」と高橋の人柄を語る。

また、喜多氏も同じように高橋のことを「人たらしでほっとけない存在。下心なく真っ直ぐな人柄で応援したくなる。実際に高橋さんとお会いすると『思い』と『覚悟の強さ』を感じました」と語る。
 
「人たらし」。天野氏と喜多氏に口を揃えてそう評される高橋は、新しいテクノロジーを持つ若い企業であるRTB Houseで大きな達成をなしえていることに、大いに満足している。それは、個人としての目標である「成長」が会社の目標と一致し、しかも、その目標を着実に実現できているからだろう。


RTB House
https://www.rtbhouse.com/jp/ 


高橋君成◎RTB House Japan株式会社Sales Director。1988年生まれ。外国語大学卒業後、リクルート、Criteo等を経てRTB House Japan株式会社に2018年1月に入社。日本法人の立ち上げから参画し、現在も事業を牽引。

Promoted by RTB House / text by Hiroyuki Okada / photographs by Munehiro Hoashi (Avgvst)

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