首相官邸での記者会見で3月16日、首相から公に発表された、「イタリア救済策」とも呼ばれる新型コロナウイルスに関する経済対策の概要をここに示したい。
ジュゼッペ・コンテ首相、ロベルト・グアルティエーリ経済財務相、ヌンツィア・カタルフォ労働・社会政相により発表された国民救済策によると、250億ユーロが投入され、医療関係者、労働者、家庭、企業への支援に向けられる。
しかし、これだけではない。新型コロナウイルスの拡散とそれが経済、社会、そして労働環境に与える影響への対策として、コンテ首相は4月、今回の措置に類似する経済対策を発表する予定としており、総合して、実際の経済立て直しに投入されるのは3500億ユーロの予定としている。
国民救済措置の中身とは
コンテ首相とグアルティエーリ経済財務相の記者会見後のスケジュールが立て込んでいたため、最後まで説明を続けたカタルフォ労働・社会政策相によれば、今回の対コロナウイルスの救済策は、おおむね緊急事態に対応するためにイタリア政府が投じる経済措置で、経済財務相いわく「介入策の軸となる5つの措置」からなる。
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1. 国民の保健衛生システムと市民保護局に35億ユーロ
2. 雇用支援、職業及び収入の援助など、新型コロナウイルスによる失業者を出さないための対策として100億ユーロ超
3. ローンや借金返済義務の一時停止など、融資システムに関する優遇措置
4. 納税義務の一時停止(経済相によれば、総売上高200万ユーロ以下の企業及び、それを越える売上高があっても今回の緊急事態により直接被害を被った企業について、5月31日まで納税義務の一時停止)
5. 新型コロナウイルスにより直接被害を被った業界への措置(なかでも運送業界など)
労働者向けの措置
カタルフォ労働・社会政策相が発表したのが、以下、労働者救済のため投入予定の経済対策資金である。
・(労働組合の)給与補償基金に13億ユーロ
・従業員1名のみの企業救済策として、給与補償基金に最大9週間の例外措置として33億ユーロ
・フリーランスの労働者保護に約30億ユーロ(3月期の手当として各労働者に600ユーロを支給。社会保障分担金納付義務の一時停止)
・子育て家族の養育費として16億ユーロ(育児休暇の拡張15日間、ベビーシッター費用として600ユーロのクーポン)
・障害者及びその援助に携わる家族のための特別休暇の拡張に5億ユーロ(3-4月期は、規定される3日ではなく12日間となる)
加えて、カタルフォ労働・社会政策相から発表されたように、2月23日以降の解雇・免職手続きは、すべて凍結されるとしいる点も強調しておくべきだろう。また、(新型コロナウイルスによる)自宅待機・自宅療養を課せられている私企業の労働者について、(病欠の日数が規定を超えた場合、雇用主はそれを理由に解雇できるが)この期間は、規定の病欠日数に含まれないとしている。