ライフスタイル

2020.04.12 15:00

「⼤⼈になったハイジ」が提供するアルプスの洗練された空間


アルパイン料理の豪快な再解釈


ヨーロッパのグルメ雑誌によれば、レッヒは最⾼級なグルメレストランが最も多い村だ。ミシュランの星を誇る芸術的料理と⼩さな村の地元料理を共に楽しめることも、美⾷家達が常連客になる理由となっている。

1600年に建てられた古い⼭⼩屋をシュナイダー夫妻のプロデュースで改装した「Klösterle」は、素朴な中にもハイセンスが光るレストランだ。

昨年、2⼈のシェフ、Ethel HoonとJakob Zellerを新しく迎えた。南チロル出⾝のJakobが南フランス、イタリア、バルセロナのレストランで働き、Ethelが⺟国のシンガポールに続きパリと東京で経験を積んだ後、⼆⼈はネットフリックスの「シェフのテーブル」にも登場するスウェーデンの二つ星レストラン「Fäviken Magasinet」で出会った。


「Klösterle」のシェフ、Ethel HoonとJakob Zeller

「Klösterle」ではアルプス料理を豪快に再解釈して提供している。サステナビリティを考えた⾃然への敬意、品質を重んじる⽣産者からの地元の⾷材、古い農家の家具、タイル張りの暖炉、そしてプレードのカーテンとテーブルクロス……賑やかなゲレンデやアプレスキーパーティから離れた雪景⾊の中にあるこの⼭⼩屋レストランにはたくさんの愛情が込もっている。

「ロマンを愛する⼈は、⼣⽅に⾺が引くそりでレッヒから訪れるのがお勧めです。帰路の暗闇の中に光る⼀⾯の雪景⾊はとても幻想的です」とシュナイダー夫⼈。

⽂化⼈の集う多⽬的空間


3つめの空間は、シュナイダー夫妻によって主導されたレッヒで唯⼀の⺠間の多⽬的⽂化施設「Allmeinde Commongrounds」だ。

「アートに興味のある⽅は、図書館もあり、静かな時間を過ごせるAllmeinde Commongroundsの展⽰会もご覧ください」と夫人が紹介する同施設は、外側は⾵化した納屋、内側はモダンで機能的な空間。この建築はいくつかの賞を受賞しただけでなく、納屋をサステイナブルに改築したお⼿本とみなされている。

アントニー・ゴームリー、ジェームズ・タレル、アーウィン・ワームなどの有名なアーティストによる委託作品や展覧会の他、コンサート、ワークショップ、イベントなどの為に「村のシンクタンクの場」としてプロデュースされた。

シュナイダー夫妻はここを「楽園」と呼び、「この場所で村のコミュニティの発展に貢献をする」という⽬標を語る。建物の⼀階には夫妻の建築事務所「Allmeinde」があり、ここで国内だけではなく海外のプロジェクトも⼿がけている。
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文=伊東エリーザ

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