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Photo by Bill Ingalls/NASA via Getty Images

英国の衛星通信スタートアップ企業「ワンウェブ(OneWeb)」が経営破綻し、3月27日に米連邦破産法11条を申請した。同社は資金調達に失敗し、オペレーションの続行が不可能になった模様だ。

ワンウェブは衛星コンステレーション(衛星の群れ)による高速インターネット網を構築し、スペースXなどの競合と戦おうとしていた。同社は直近で3月22日に、ロシアのソユーズロケットで34個の衛星を打ち上げ、合計74個の衛星を軌道に送り込んでいた。

しかし、ブルームバーグは3月20日時点で、ワンウェブが財政上の危機により破産申請を行う見通しであると報じていた。ワンウェブは創業以来、総額34億ドル(約3600億円)をソフトバンクグループやエアバス、クアルコムなどから調達しており、新たに10億ドルの調達を目指していた。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を含む複数の要因から、同社は資金調達に困難をきたしたという。英フィナンシャル・タイムズはワンウェブが破産手続きを進め、社員の大半を解雇すると報じた。

事情に詳しい関係筋によると、同社はごく限られた人員でオペレーションを続行しつつ、新たな出資元を探していくという。しかし、新たな資金が調達できない場合、ワンウェブは軌道に投入済みの人工衛星を除去せねばならない。

ワンウェブに打ち上げ許可を出した英国の宇宙局も責任を問われる可能性がある。万が一、軌道上の衛星が他の衛星に衝突した場合、責任を問われるのは英国宇宙局だ。

市場の混乱により困難に直面した衛星インターネット企業は他にもある。日本のスカパーJSAT と、スペインのヒスパサットが出資したLeoSatも資金調達に苦戦した後、昨年11月に事業を停止している。

2012年に設立のワンウェブは、スペースXに対抗し得る有望企業とみなされていた。同社は650基の人工衛星からなる衛星コンステレーションの構築を目指し、最終的には2000基程度の衛星を軌道に送り込もうとしていた。ワンウェブは今年秋には北極圏でのサービスを始動するはずだった。

しかし、同社の競合であるスペースXのグウィン・ショットウェルCEOは、2019年10月に「スペースXの衛星のキャパシティは、ワンウェブをはるかに上回る」と述べ、ワンウェブに出資する人々は、資金を回収できなくなると指摘していた。

衛星インターネット分野では、アマゾンもKuiperと呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、3000基以上の人工衛星で地球を3層に覆い、全人類の95%に衛星を介したブロードバンド通信を提供する計画を明らかにしている。

編集=上田裕資

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