経済・社会

2020.03.30 10:05

「同調圧力に屈せず、多くの異論を」岩田教授に聞くコロナ危機対策

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──「これまでうまく対応ができていた」のに東京で大幅に感染者数が増え始めたのはなぜでしょうか。海外からの帰国者が増えたからでしょうか。
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海外渡航による感染例は、実は追跡が簡単なので大きな問題ではない。東京都で問題なのは、感染経路が追跡できない感染者が増えている点だ。発表でもあったように、海外渡航者や院内感染以外に、半分ほどは感染経路がわかっていない。追跡できていない感染者から国内で二次感染、三次感染が広がっている可能性がある。


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──地域ごとの対策が重要になるという話ですが、政府の専門家会議では(対策ができる)専門人材の不足が指摘されていました。


自治体はこれまで厚生労働省からの通達に従うだけだったのが、自分で考えて状況を判断し、遂行しなければならない。日本ではデータを活用する習慣が少なく、慣習や同調圧力で決めてしまいがちで、自分で決めて判断できるリーダーが少ないので、困ったことになるだろう。何を持って判断するのか、判断根拠となるデータは何かをはっきりさせないといけない。
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これまでに地力を培ってこなかった、という慢性的な問題だ。プロの人材は即時的に育成は出来ない。いまからどうにかできるものではない。

──新型コロナウイルスのデータに関しては、中国や欧米などから続々と研究が発表されています。日本はダイヤモンド・プリンセス号の発生で諸外国より早く最初の危機を経験しましたが、日本発の論文は少ないように見えます。

日本からの論文は少ない。中国はあれほど大変な事態になりながら、論文を出しており底力があると思った。日本はもともといっぱいいっぱいで医療制度を維持しており、アカデミックな余力を削られている中で、アウトプットができていない。私自身も二本目に取り掛かっているが、余裕がなくてなかなかデータをまとめることができない状況だ。

──実際に新型コロナウイルスの患者を診て、どのような印象を持たれましたか。

とても問題の大きい感染症だ。8割は良くなるというのがミソだ。そのほうが感染は広がりやすいから。エボラは致死率がもっと高いが、濃厚接触者にしか感染しない。よって、アフリカの限定的な感染症のままでそれ以外の地域では流行しない。新型コロナの致死率は1%あるかないかだが、一部の人に怖い病気というのが厄介だ。
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編集=成相通子

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