掃除ロボットが収集するデータも活用。アイロボットが目指す「スマートホーム構想」とは?

アイロボット アソシエイトプロダクトマネージャー アイリーン・リー

ルンバ誕生以来「円型」だった本体を、「D型」シェイプに一新し、清掃能力の向上を実現したという「ルンバ s9+」。自己位置の認識と経路探索機能を備えた独自技術「vSLAMナビゲーション」が強化されたほか、クラウドを活用したプラットフォーム提案も加わり、ロボット掃除機という枠を越えようとしている。

これからルンバはどのような存在になっていくのか。アイロボット アソシエイトプロダクトマネージャーであるアイリーン・リーに話を聞いた。


──ルンバ s9+でD型シェイプを採用した理由を教えてください。また、S9+はトップエンドのモデルですが、このD型シェイプは今後登場する下位モデルにも展開されていくのでしょうか。

ルンバ s9+を開発した目的のひとつに、「角や隅まで、より深く清掃する」ことがあります。D型シェイプを採用することで中央に配置していたクリーナーヘッドを前方に移動させることができ、従来と比べて前方の幅が30%広がりました。これにより、従来課題から課題として挙がっていた部屋の角や隅などの狭い場所の清掃レベルが格段に上がっています。

ただし、D型シェイプはより高い清掃レベルを求めている消費者のために開発した型です。現段階では今後のモデルにも継続的に採用するという具体的な計画はありません。


D型シェイプを採用した「ルンバs9+」(左)と、従来型のルンバ(右)

── 昨年モデルの「i7」から引き続き、ルンバ独自のVisual SLAM(カメラで撮影した映像によって自己位置推定と環境地図作成を同時に行う)技術「vSLAMナビゲーション」をルンバ s9+でも採用されています。従来機と比較して、空間把握における進化はあるのでしょうか。

vSLAMでは、ビジュアルセンサーを天面に配置しています。これで屋内の明暗部を見分け、ランドマーク(vSLAM技術における「地図を構成する点」)をつくり、周囲の壁や家具といった環境を認識しているわけですね。また、フラットな前面部分には3Dセンサーが配置されており、ビジュアルセンサーと融合することで、前方部分にある角や壁、家具などを立体的に認識しています。1cmを超える大きさであれば捕捉ができます。

ルンバ s9+における特徴は、つねに学習することです。繰り返しマッピングを行い、周囲の環境に適応します。初回の清掃は学習の過程にありますが、何度か清掃すると壁やテーブル、子どものおもちゃといったものを認識し、最適なナビゲーションができるようになります。さらに、赤外線センサーとビジュアルセンサーの連動により環境認識力が強化されたことも、特徴のひとつです。
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取材・執筆=海上忍 写真=君嶋 寛慶

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