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2020.04.02

そもそも5Gで何が変わるのか? シリコンビーチではこう使われている

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シリコンバレーは、アメリカカリフォルニア州にある、言わずと知れたIT企業のメッカである。

では、「シリコンビーチ」をご存知だろうか? ポスト・シリコンバレーとも言われ、スタートアップの新たな聖地として、一部の人の間では注目を浴びつつあるが、日本人にはまだそれほど知名度が高くないようだ。

シリコンビーチは、サンタモニカ、ヴェニスを中心とした一帯を指す。映画産業で有名なハリウッドがあるロサンゼルスが近いだけに、シリコンビーチには、「hulu」をはじめエンターテインメント企業も多い。10秒間だけ写真・動画をアップロードできるソーシャルメディア「スナップチャット」や、ビデオドアベルを開発し、2018年アマゾンに買収された「リング」、求人サイトのユニコーン企業「ジップ・リクルーター」、中古車の定額制レンタルサービスを手掛け、ソフトバンクが投資した「フェア」、電動キックスクーターのシェアサービス「バード」など。

もちろん、スタートアップ生態系に不可欠なインキュベーター、ベンチャーキャピタルも多く存在する。

シリコンビーチの一角に「プラヤビスタ」と呼ばれる場所がある。非常に小さなエリアで、車で5、6分あれば一周回れてしまうほどだ。サンタモニカ、ヴェニスのベッドタウン的な意味合いも兼ねて開発された、実験的な場所と言えよう。このシリコンビーチの中でもヴェニスビーチ近くに位置する「アボット・キニー」通りは、ニューヨーク・ソーホー地区と並んで、アメリカで「もっともイケている」エリアとされている。

ここは2010年ごろから「スタートアップ生態系」が形成されつつある。グーグルは、ハワード・ヒューズという実業家が1943年に建てた飛行機格納庫の中に、近代的なオフィス「SpruceGoose」を構築した。このほか、マイクロソフト、ヤフー、ユーチューブ、フェイスブック、hulu、スナップチャットなど、そうそうたる企業がこのプラヤビスタに存在している。


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ここに住むひとりの日本人投資家がいる。世野いっせい氏だ。

世野氏はプライベート・エクイティ・ファンド(米国の富裕層の個人的資金を運用することがメイン)で14年間仕事をしてきたが、現在は引退し、芸能人やメジャーリーガーをはじめ、世界の富裕層を中心に、資産運用などのアドバイスを個人的に行なっている。ファイナンスの視点からみた独自の不動産分析で「目的」と「予算」から物件を選定、出口戦略まで一貫した手腕には定評がある。

世野氏は、仕事と並行してプライベートでも個人の資産運用を米国不動産投資を中心に行なってきた。このため、毎日2時間くらいかけて米国各地の土地の動向を見るのが日課となっている。あるとき、ロサンゼルスのある一部地区の地価が高騰していることに気づいた。それがこのシリコンビーチにあるプラヤビスタだったのである。興味を抱いた世野氏はこの地に住むことを決めたという。

世野氏にこの世界最先端の地の話をうかがった。数回にわたってお送りしたい。
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構成・文=柴田恵理 編集=石井節子

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