ビジネス

2020.04.02

そもそも5Gで何が変わるのか? シリコンビーチではこう使われている

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映画業界でも同じようなことが行なわれている。「アメリカで今、5Gに期待しているのは、4Kや8Kの動画が観られること。映画は現在、1本2時間程度のものが多く、長くても3時間くらいのデータ量です。けれど、水面下では3時間を超える作品が制作されています。どういうことかと言えば、「映画を観ておしまい」ではなく、ネットフリックスなどの映像ストリーミング会社との連動を考えているんです。

たとえば、ヒーローもののアベンジャーズだったら、映画にさまざまなヒーローを登場させて宣伝をし、テレビではそれぞれのヒーローのストーリーを切り出して、各々のドラマをシリーズものとして配信していくということです。5Gなら楽にダウンロードできるから、大量なサウンド、映像もストレスなしですね」と世野氏は言う。



このように、発信者側ではすでに準備は整いつつあるようだ。あとは受信者側に5Gが普及するのを待つばかり。

こういった話が、机に向かっているときや会食をしているときではなく、一緒にプールで遊びながら、スタバでお茶をしながら普通に聞けるのがシリコンビーチだ。

情報は「ヨコ」に移動する


「このようにインフラが整備されたエリアで仕事をしている人たちは圧倒的に有利ですよね。そして、こういうところで育った子どもたちは、自然とこういった最先端の知識や情報を身に着けているのですから、これまた強いといえるでしょう。

情報はタテには移動しません。ヨコに移動していくものです。つまり、同じレベルの人の間でしか同じ情報は通用しないのです」と世野氏。まさに、シリコンビーチに住む子どもたちはITの英才教育を受け、次世代の貴重な戦力となり得るのではないだろうか。

では、同じようなことが今後、日本でも起こり得るだろうか。

「一気に5Gを普及させることはできないから、日本ではじめるならまず東京からでしょう。ということは、東京都内の5Gのインフラが整備されたエリアで仕事する人たちが圧倒的に有利な立場に立つことはたしかです。それにともなって、人の流れも変わってくるのではないでしょうか。

今は家賃も安いし、テレワークもできる……などの理由から、地方に本社機能を移転する企業も多いでしょう。それがどう変わってくるか」と世野氏は話してくれた。

5Gが普及することで、はたして日本にシリコンビーチのようなエリアができるのか。ビジネスにはどのような変化が見られるのか? 気になるところである。


世野いっせい◎投資家。米国シリコンビーチ在住。米国不動産を中心に資産を築き、年間不労所得は3億円を超える。著書に、『お金持ちの「投資家脳」、貧乏人の「労働脳」 ──本物のお金持ちしか知らない55の法則』(河出書房新社)、『金持ち脳でトクする人 貧乏脳でソンする人 一生お金に困らない55の法則』(PHP文庫)。

構成・文=柴田恵理 編集=石井節子

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