米フィンテック企業らが団結、「コロナ支援」に参加要請

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米議会が新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃を和らげるため、巨額の経済対策を検討する中、フィンテック企業は政府に対し、彼らが中小企業への融資プログラムに参加することを許可するよう訴えている。

感染拡大で打撃を受けた中小企業を支援する上で、オンラインのレンダー(貸し手企業)やフィンテック企業は、伝統的な銀行よりも迅速に支援が出来ると主張している。

米国最大のオンラインレンダーの1社である「Funding Circle」のRyan Metcalfは次のように話す。「ノンバンクのオンラインレンダーは、緊急を要する融資に欠かせない存在だ。当社は24時間以内に審査を終え、3日以内に融資を実行するが、銀行は1カ月以上を要し、緊急ファンドの設立にも30日以上を要する」

米議会は、感染拡大による経済的ダメージを緩和するための大型経済対策を検討しているが、対策法案の採決は難航している。

民主党は、法案に盛り込まれた5000億ドルの企業支援について、資金使途が明確に定められていないことを問題視している。しかし、中小企業向け融資の必要性については、共和党も歩調を合わせている。中小企業の多くは運転資金が1カ月分を切っており、経費の支払いが滞る恐れがある。倒産を避けるためには、迅速な融資が不可欠だ。

宙に浮いている法案には、従業員への給与支払いを目的とした返済免除条件付き融資の提供が盛り込まれている。フィンテック企業は、この返済免除条件付き融資の提供を担いたいと主張している。これを認めるためには、議会がノンバンクを貸し手として任命する必要がある。

「2008年からの金融危機の際に実施された中小企業支援プログラムでは、融資の担い手は銀行や信用組合だった。しかし、今回は時間の猶予がなく、手続きに時間がかかる銀行や信用組合に任せるわけにはいかない」とMetcalfは話す。

Metcalfによると、米国の伝統的な銀行では、バランスシートに占める中小企業向けローンの割合が0.7%に過ぎないのに対し、フィンテック企業に融資を依存する中小企業は多いという。

「フィンテック企業の多くは2009年以降に設立されたが、中小企業向け融資では銀行よりも大きな役割を果たしている」と彼は話す。

Funding Circle以外にも、スクエアやペイパル、ストライプなどのフィンテック企業が業界団体「Financial Innovation Now」を通じ、中小企業支援プログラムへの参加を訴えており、議会に書簡を送った。

書簡には次のように書かれている。

「今後の数週間以内に倒産の危機に瀕した中小企業は数百万社あり、伝統的な金融機関からの融資では間に合わない可能性がある。中小企業はオフィスを閉鎖し、経営者は自宅にこもることを余儀なくされている。銀行の支店も閉鎖されている。中小企業向け融資プログラムはデジタル技術の進歩を活用し、最も融資を必要としている人々を迅速に支援するべきだ」

編集=上田裕資

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