食事は妻が作り、夫が食べるもの?
2017年8月30日。「食事は妻が作り、夫が食べるもの」と疑いもなく書いている残念な記事を目にしてしまった。妻が「今晩、何食べたい?」と夫に質問してきたとき、カキフライと答えると面倒だと言われ、肉じゃがと答えるとワンパターンと言われ……といった調子で始まり、延々とどうでもいい論点について並べて、最後まで「妻が作り、夫が食べる」前提で書かれた記事である。ぐたぐた言わずにあなたが作ればいいのに、と思った。
この記事に挙げられている会話自体が、「女は結婚したら家庭に入れ」という価値観を押し付けているようで、不快きわまりなかった。この価値観が残っていると、日本はどんどん劣化していく。「何食べたい?」「カキフライ」「いいね! じゃ、作って! よろしく!」でもいいよね。
わが家も私が病気になってから、夫が朝食を作るようになり、その姿を見て、息子が自分のスクランブルエッグを自炊するようになった。
「座れば食事が出てくるのがあたりまえだ」という考え方が、この世からどんどん減りますように。そうしないと、少子高齢化共働き必須時代は生き抜けない。
修行そのものが悟りである
2017年9月1日。バスケをやっている息子は、NBAのカイリー・アーヴィングの大ファンである。カイリーが、クリーブランド・キャバリアーズからボストン・セルティックスへ移籍するときに、ファンへの感謝の気持ちとともにNBAの公式サイトに寄せたメッセージを、息子が書き写していた。
息子は、「カイリーはスポーツ選手なのに、まるで詩人のような言葉遣いをするんだ」と感激していた。その内容は、病み上がりの自分にも響いてきた。
ここがまずかっこいい。
The ups and downs, we stand and fight no matter what the circumstances are,
(浮き沈みがあっても私たちは立ち向かい、どんな状況であっても戦います)
そして最後の"The journey is always the reward"。
「旅の道のりそのものが報酬だ。どこに着くかは問題ではない。今、自分がしていることに意味がある」(訳:息子)
この引用は、禅の「修証一等」、修行の先に悟りがあるのでなく、修行そのものが悟りである、という教えにつながる。スティーブ・ジョブズの言葉にもこの教えを反映した物がある。カイリー・アーヴィング、これで締めるとは、かっこよすぎる。ほんとに25歳(当時)なのか?
チャレンジしようぜ! ってことでもある。いいね!
がんの確率、ほぼ100%──|乳がんという「転機」 #1
私はまるで、使い捨てカイロだ。|乳がんという「転機」 #2
ベリーショートの智子がたんぽぽの種に例えた「転移」|乳がんという「転機」 #3
人生最悪の10日間、見えてきたもの|乳がんという「転機」#4
「全部いりません!」初診の日、全摘を確認|乳がんという「転機」 #5
乳がん告知。がっつり生きよう。もっともっともっと|乳がんという「転機」#6
左胸に、さよならを。幸せな人生とは何か|乳がんという「転機」#7
手術。体感時間1分。甘かった…|乳がんという「転機」#8
乳がん初動のイロハ、書かなきゃ|乳がんという「転機」 #9
退院。そして事件は起きた|乳がんという「転機」 #10
赤黒い傷のインパクト。傷口のケア、心をかけて、手をかけて|乳がんという「転機」#11
這ってでも会いにいけばよかった|乳がんという「転機」#12
さらば乳がん、とする。|乳がんという「転機」#13
これからの生き方、11のマイルールと、12の「〇〇しない」リスト|乳がんという「転機」#14
人間いつ死ぬかわからないから|乳がんという「転機」#16
連載「乳がんという『転機』」。筆者は電通 チーフ・ソリューション・ディレクターでForbes JAPANオフィシャルコラムニストの北風祐子さん。
初動から立ち直るまでのブログ的記録。11人に1人が乳がんになる時代、大親友がたまたま医師だったおかげで筆者が知ることができたポイントを、乳がんの不安のある女性たちやその家族に広く共有し、お役に立てていただけたらと考えています。
連載はこちら>>