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乳がんという「転機」


アラフィフのマウンティングに禁止令を


2017年8月23日。乳がんで死生観の変更を余儀なくされた身としては、大企業で日々繰り広げられるマウンティングには、もはやまったくもってこれっぽっちも感情移入できない。

人の成果を自分の手柄のように話す「アレオレ詐欺(アレはオレがやった)」は定番。「私はよく知らないんですが、Aさんのマネジメントには問題があるという声をよく耳にします」というように、自分ではなく他人の意見として人を批判する、巧妙な手口での足の引っ張り合い。いい歳をしていまだ自己アピールを繰り返す出世欲の塊……。

挙げればきりがないが、まさに別世界での出来事。私にとっては、限りある命の、大切な時間の、無駄遣い。

だが、復帰と同時にポジションが一段変わったせいか、そこここでさらに多くのマウンティングの光景が、否が応でも目や耳から入ってくるようになった。特にアラフィフのマウンティングは、最悪。醜悪。

アラフィフのマウンティングが目立つ職場は、若い社員にとって、魅力も、希望もない。働き方改革も大事だが、アラフィフにマウンティング禁止令を出す方が効果的だ。役員にでもならない限り、たいして給料なんて上がらないんだから、マウンティングなんてやめて、楽しく仕事をしたらいい。

ほんとはマウンティングの光景とは無縁の世界で働きたいが、まだ自分には抜け出す力量がない。なので、今は、大企業にいないとできないことを満喫したい。

それはただ一つ、今日明日急にクビになる心配をせずに、仲間と共通のゴールを目指して協働できること。けっこうシンプルだと思うんだけどな。

2017年8月25日。築地のうなぎ屋「丸静」でうなぎを食べた。新入社員のときに隣の部で、それから26年間お世話になっている会社の先輩が、復活祝いにとうなぎランチをご馳走してくれたのだ。療養中も「病を経てさらに強く優しくなれる人だ」と励ましてくださった。あたたかい。優しい。自慢の先輩。

「こんなことがあったからさ、いつでも会えるから会わないとかそういうの、やめようと思ったんだよね」と先輩。振り返れば長いつきあいになりましたね。ありがたい、心の交流時間。

新入社員の時の体重に。痩せたけど元気です


2017年8月26日。中年になってからどうやっても減らなかった体重が、乳がん発覚から今までの5カ月で4kg減った。

人間ドックの結果が郵送されてきて「マンモグラフィ カテゴリー5」=「がんの可能性、ほぼ100%」だと知ってから、がん専門病院での初診を受けるまでの地獄の10日間は、ほとんど固形物を食べることができず、そのせいでまず1kg減。

初診で「これから精密検査をしないと確定診断できないが、がんだとしても早期、ラッキー」と言われてから、各種精密検査期間中は、わずかではあるが前を向けるようになり、玄米菜食ウォーキング生活を開始、さらに1kg減。

予想通りがんの告知を受けて、手術するまでの半月は、体内にいることが確定したがん細胞が増えたり暴れたりしないことを、がん細胞に語りかけるように毎日ひたすら祈りながら、玄米菜食に無塩、無糖、無脂を徹底し、一段とストイックな毎日。で、1kg減。

退院後は、週末1万歩ウォーキングを再開、胚芽米菜食メイン、4本足の肉はほとんど食べず、以降3カ月で1kg減。

かくして新入社員のときの体重にまで戻った。

もともとガリガリの痩せ型だったので、今の体重はおそらく適正で、動きが軽やかになり、膝の痛みも消え、二重アゴもスッキリ、ぜい肉ゼロ、肌もツルツル、体調も良い。が、周囲の人から見ると、病名が病名なだけに、急に痩せたのはパッと見て痛々しく見えるのだろう。「痩せたね〜」という視線を感じる。

こうして状況、経過を書き出してみると、そりゃあ痩せるよね、と自分では納得できる。が、人にいちいち説明して回るわけにもいかないし。肥満は再発の原因となるので、このままの体重を維持したい。ウォーキングも続けて、体力をつけたい。

文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

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