AMCシアターズは先週、世界1000ヶ所以上の映画館を閉鎖するとアナウンスしていた。同社は既に、売店やチケット窓口に勤務する2万6000人の社員を解雇していた。
米国では、ほぼ全ての映画館が休業しており、先週末の米国内の映画の興行収入はわずか3920ドル(約43万円)にまで低下していた。アメリカの映画館業界が被る損失額は合計で40億ドルに及ぶとの試算もある。
AMCは声明で、今回の解雇措置は手元のキャッシュを確保し再オープンに備えるために回避不可能な選択だと述べた。同社によると、一部の社員は賃金を減らしつつミニマムな時間で勤務を続行するが、その他の社員は完全に業務を停止し、給与の支払いもストップするという。
他の映画チェーンも経営危機に陥っており、劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会は先週、米国政府に緊急支援を要求した。
AMCの株価はここ一カ月で42%もの急落となっているが、休業が長引けばさらに下落する見通しだ。
映画館チェーンの売上は、感染拡大の脅威が去り通常営業に戻れば、理論上は従来の水準まで回復するはずだ。しかし、長期間に渡り外出を制限された顧客らが行動パターンを変え、映画館に向かう客足が減少する懸念もある。
映画の製作スタジオの間では一定の売上を確保するため、新作映画をストリーミングやペイ・パー・ビューで先行上映する動きも広がっている。劇場の閉鎖が長引くにつれ、より多くの映画スタジオがダイレクトに作品を消費者に届ける方向に進み、顧客の好みや行動パターンが変化する可能性も浮上した。