ビジネス

2020.03.27

CRAZY山川咲が「夫婦経営」を辞め、独立を決意した理由

CRAZY WEDDING創設者 山川咲


今後は一切経営権を持たないながらも、ビジョンパートナーという形でCRAZYとの関わりは続けるそうだ。

「自分の実現したい世界がここに詰め込まれているので、辞めたからといって関係がなくなるわけではありません。“心はともにある”状態ですね。これから外に出て成長していく私が何らかのフィードバックをCRAZYにできるかもしれないし、私がやりたいことがCRAZYにつながるかもしれない」

素直になれるきっかけを伝える新サービス


今後やりたいことを聞くと、彼女は具体的なビジョンを2つ挙げた。1つは、引き続きCRAZYの仕事になるが、以前から開発を進めてきたオーディオガイドのサービス。これは夫婦や家族などがアプリを通じてお互いの気持ちを音声を通して確かめ合うサービスだという。



これまで、結婚式のプランニングを皮切りに、2019年にスタートした「IWAI OMOTESANDO」という式場事業、星野リゾートと共同開発した結婚式に代わる「IWAI旅」という旅行サービスなど、少しずつ“祝い”の形を広げるように事業を拡大してきたCRAZY。ひとりのプランナーが1組の結婚式を作る形から、少しずつ人の手を離れても実現できる体験づくりへと事業がシフトしてきた。

新サービスは人の手を介さず、テクノロジーによって夫婦や家族の本音を聞き出し、それを記録するためのもの。背景には、同社最大の強みであるプランナーによるヒアリング(結婚式準備の打ち合わせ)のノウハウがある。

結婚式を挙げたカップルからは「ヒアリングに感動した」という声も多く、自然と本音を聞き出してもらうことで、今まで気がつかなかった気持ちを声に出し、相手に伝えられるのだという。新サービスではこの感動をもっと手の届きやすい形で提供することを目指している。

「人生で素直になれる瞬間はそうあるものではありません。親への手紙を読むなんて、結婚式でなければなかなかできないこと。だから、こうした機会を別に用意することで、自分の本音を知ることができて、しかもその気持ちを貯めていくことができるんです。やることはシンプルでアナログ。生活に欠かせないものではないですが、人間の原始的な欲求に応えるもので、何十年と使い続けれられるサービスになるはずです」
次ページ > 次に向き合うのは「死」

文=角田貴広 写真=澤 圭太

ForbesBrandVoice

人気記事