ビジネス

2020.03.27 13:00

CRAZY山川咲が「夫婦経営」を辞め、独立を決意した理由


CRAZYはこれまで、山川と、夫で代表取締役の森山和彦のふたり、いわば夫婦経営で成長してきた企業だ。創業時は現場を含めた事業全般を山川が担当し、森山がそのビジョンをサポートする形で経営をする体制をとってきた。

3年目になると、森山の「会社のことを一緒に考えたい」という思いを受け入れて、山川はウェディング事業を離れて経営サイドに加わる。会社はどんどんと成長を続けた。「情熱大陸」に取り上げられたこともあった。しかし、経営のあり方にはつねに悩みを抱えていたという。

「私は“捨て身の挑戦”が得意なんですが、経営の立場にいると、やっぱり自由に動くことは難しい。さらに家族が増えて幸せな時間が増える一方で、家族と経営の両立に限界を感じるようになりました。私か夫が横並びで共存するよりも、どちらかがトップに立ったほうがいいことをずっと感じていたんです」

「寂しいけど、どうか幸せになってください」


独立を決めた山川は、その旨を社内で話してみた。想像以上にみんながその選択を支持してくれたことに驚いたという。

「自分勝手に辞めると思われないか、すごく不安でした。自分がいなくなることで、この場所を壊してしまうんじゃないかという自身に対するプレッシャーもあったんだと思います。だけど、社員から『今の咲さんは幸せそうじゃないから、寂しいけど、どうか幸せになってください』と言われて。そうか、大丈夫なんだって思いました」



社員との対話を経て、山川はこの選択が会社にとっての転機になると確信した。これまでは、山川の存在感が大きかったため、組織としてドラスティックな変化は起こりづらかった。だから、これは自らの決断でありながらも、会社にとっても必要な決断であると考えた。

「辞めることを決めてから、家庭もクリアになったし、会社では新しい動きが起き始めています。これまで積み上げてきたものが壊れてしまったらどうしようという思いから、これを機にきっと新しい風が吹くはずという考えに変わりました。社員には『あなたの判断で、あなたの挑戦をして』と伝えています。とにかく、苦しかったけれど、素晴らしい8年間でした」
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文=角田貴広 写真=澤 圭太

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