「ユーロ圏」として知られる、単一通貨ユーロを使用する国々では、状況は想像以上に悪化するおそれが出てきた。経済情報サイト「トレーディング・エコノミクス(Trading Economics)」がまとめたデータによると、ユーロ圏は14兆ドル(約1550兆円)規模の経済圏であり、21兆ドルの規模を持つアメリカ経済の3分の2の大きさだ。少なくとも2019年時点での統計では、これだけの規模があったということだ。
だがここに来て、状況が急激に悪化するおそれが出てきた。
第2四半期GDPは、前期比15%減に?
ロンドンに本拠を置く調査会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)は先ごろ、以下のようなリポートを発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルスの影響で、ユーロ圏の第2四半期国内総生産(GDP)は、前期比15%マイナスと大幅に縮小する可能性があるというのだ。
「新型コロナウイルス封じ込めのための方策により、多くの経済活動が数カ月にわたって完全に停止することが明らかになった」と、このリポートは述べている。
キャピタル・エコノミクスでは、少なくとも数か月にわたって基本的には業務停止を余儀なくされる業種として、観光、旅行、エンターテインメントの3分野を挙げている。
また、この3分野以外でも、支出を削減し、新しいプロジェクトに対する投資を中断している業種は多い。
キャピタル・エコノミクスによると、ユーロ圏の経済は、6月までの3カ月間で前期比10~15%の縮小になる見込みだという。しかも、この直前の第1四半期も、2.5%のマイナス成長が予測されている状況だ。
歴史的な規模の経済危機に瀕するヨーロッパ
これほどのマイナス成長は、まさに歴史的規模だと、キャピタル・エコノミクスのリポートは指摘する。
「第2四半期の急激な景気後退は、過去最悪だった2009年第1四半期のマイナス3.2%と比較しても、5倍に相当する下落幅だ。また、GDPのピーク時からの下落率に関しても、2008年から2009年にかけての6%を大幅に上回る見込みだ」
※注:強調表示はキャピタル・エコノミクスの原文に従った。
このリポートの予想が的中すれば、景気後退は非常に厳しいものになるだろう。
暗い見通しのなかに、わずかな希望がもしあるとしたら、それはキャピタル・エコノミクスが、2020年下半期にはユーロ圏の経済が持ち直すと予想していることだ。第3四半期には前期比10%、第4四半期には同5%の経済成長が期待できると、このリポートは述べている。
つまり、大幅な下落の後には反発が見込めるということだ。