ビジネス

2020.03.27

グラブハブの救済策に批判も、米飲食業界がおかれる苦しい状況

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ニューヨークのブルックリンで、中東風の伸びるアイスクリームを販売する店「Republic of Booza」を営むマイケル・サドラー(Michael Sadler)は、グラブハブにもともと良い印象を持っていない。同氏によれば、グラブハブは法外な料金を請求し、手数料やその他の手続き料も含めると、その額は注文総額の35%にも上るという。それでも同氏は、グラブハブが救済措置を発表したときに、確認する価値はありそうだと考えた。

しかしサドラーは、受信ボックスに届いたメールを読むやいなや、疑問を抱いた。発表を見た人々が受けた印象と、実際の措置の規約は大きくかけ離れているのではという疑問を持ったのだ。

「FAQには、冒頭からいきなり法律用語がたくさん並んでいて、読もうという気が失せた」とサドラーは話す。さらに、小さな文字で書かれた規約を読み進めていった結果、「この措置はどう考えても、手数料を免除するものではない」ことが明確になったという。

サドラーやほかのレストラン経営者によれば、おそらく最大の問題は、手数料徴収の先送りが4月半ばで終了することだ。新型コロナウイルスのパンデミックとそれがもたらす経済的影響が、それほど早く解決する可能性は低いと彼らは指摘する。

シュロウ・レストラン・グループ(Schlow Restaurant Group)の戦略的事業部門ディレクターでパティシェでもあるアレックス・レヴィン(Alex Levin)は、手数料の徴収を1か月先送りしてもほとんど意味がないと述べる。なぜなら、4月までに「混乱から抜け出せるとは思えない」からだ。レヴィンは、グラブハブなどの企業のアカウント担当者にほぼ毎日メールを送り、手数料を下げるよう求めている。

サドラーがとりわけ批判的なのは、グラブハブがこの措置を、レストラン業界が経済的危機の真っただ中にあるときに発表したそのやり方だ。「彼らのやり方はうさんくさい」とサドラーは言う。

グラブハブの広報担当者は、次のような声明を出している。

「人々が外食しなくなったことで、独立系レストランが苦しい状況に置かれていることを私たちは知っています。今回の私たちの使命は、デリバリーとテイクアウトを通じて、独立系レストランが営業を継続できるよう手助けすることです。資金繰りを改善し、人件費が払えるようにするため、私たちは、そうした独立系飲食店から得られる当社の売り上げを延期することとしました。当面は、以前からの提携レストランも、新規登録レストランも、同様に対処します。

私たちはさらに、政府当局と緊密に手を結びながら、店内の飲食スペースを閉鎖せざるを得なくとも、デリバリーと持ち帰りの営業が可能になるよう、努力しています。注文や寄付などを通じたコミュニティ支援を進め、独立系飲食店がいまの危機的状況で営業が継続できるよう、あらゆる手を尽くしています」
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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