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2020.03.27

グラブハブの救済策に批判も、米飲食業界がおかれる苦しい状況

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、アメリカの多くの州や都市では飲食店が閉鎖され、レストラン経営者は店をつぶすまいと苦慮している。そんななか、フードデリバリー企業「グラブハブ(Grubhub)」は2020年3月13日、レストラン経営者に向けた1億ドル規模の救済措置を発表した。

ところが、それに対して経営者たちは強く反発している。「料金徴収を一時的に先送りする」というグラブハブの措置は、実際にはほんの短期間に限ったものにすぎないと、彼らは主張している。また、対象となるのは登録手数料のみであり、配達料や手続き料が含まれていないことも批判の対象だ。

また、この措置に関する規約には、登録した飲食店は、グラブハブのプラットフォームを、最低でも1年間は利用し続けなくてはならないと明記されている。しかし現在の危機的状況においては、レストラン経営者がこの要件に気づかない可能性も大いにある。

1億ドル規模の救済措置を発表したグラブハブのプレスリリースは、この措置はシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストン、ポートランドの各市長と「共同で」行われると述べたうえで、「対象レストランの資金繰りを実質的かつ即座に救済する」ため、登録料の徴収を一時的に保留すると書かれている。

規約を見ると、グラブハブが実際に実施するのは、マーケティング登録料の徴収を短期間見送るという措置だ。適用されるのは「救済期間」のみで、3月29日より前に終了する見込みだと書かれている。

保留されていた登録料の徴収は、4月13日以降、あるいは、救済期間が終了してから2週間が経過してから開始されるという。さらに、救済措置を受ける要件として、レストランは登録後、最低でも1年間はグラブハブとの提携を継続しなくてはならない。

新型コロナウイルス感染者が急増しているアメリカでは、多くの州や都市でバーやレストランなどが閉鎖され、ウイルスの拡散防止に取り組んでいる。そのため、レストラン経営者は突如、資金繰りに行き詰まり、営業を続けるにはデリバリーで食事などを提供するしかない状況となった。つまり、店自身が配達するか、グラブハブのようなフードデリバリーサービスと提携するかのいずれかを選ばなくてはならない状態だ。

飲食店情報サイト「イーター(Eater)」の報道によると、グラブハブと競合するDoorDash(ドアダッシュ)は、「新規登録した飲食店は、登録料なしで30日間利用できるようにしたほか、事前に注文して持ち帰るピックアップ注文の手数料を免除したり、同社のサブスクリプションサービスDashPassを利用するレストランの手数料を減額したり」している。一方、ウーバーイーツ(UberEats)は、消費者側の配達料を免除している。こうしたなかで、グラブハブの措置は批判にさらされている。
次ページ > 最大の問題は、手数料徴収の先送りが4月半ばで終了することだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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