ビジネス

2020.03.26

ソフトバンク出資の米不動産仲介業者コンパス、従業員の15%を解雇

Tada Images / Shutterstock.com

ソフトバンクグループが出資する不動産プラットフォームの米コンパス(Compass)が、従業員の15%を解雇したことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するためのさまざまな措置で、今後さらに大きな打撃を受けることが予想されるためだという。

ニューヨークを拠点とする同社のロバート・レフキン最高経営責任者(CEO)は3月23日、従業員に宛てたメールのなかで、この決定について次のように説明した。

「私たちは今でも最善の結果が得られることを望んでおり、そのため最悪の状態にも備えておかなければならない」

「従って私たちは、全米のその他の何千もの企業と同様に、チームメンバーの一部を解雇するという極めてつらい決断を下した」

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は株式市場を混乱に陥れ、米国中の数多くの企業を操業停止に追い込んでいる。そうした状況のなか、従業員を解雇する企業はすでに増え始めている。

事業用不動産サービスの米CBREのエコノミストなどは、米国の失業率は3.5%から5%以上に上昇すると予測している。つまり、200万~300万人がすぐにも職を失う可能性があるということになる。一方、レフキンCEOは、この数値は10%に達することもあり得ると主張している。

コンパスが解雇したのは、主にマーケティングと財務、合併・買収(M&A)などの部門に所属するおよそ375人。レフキンCEOは解雇を発表する数日前に、連邦議会に公開書簡を送付。社会的距離の確保や自宅待機が求められていることで不動産業者は特に深刻な影響を受けているとして、救済措置を検討するよう要請していた。

コンパスが窮地に追い込まれていることは、同CEOが従業員に示した内容からも明らかだ。同社の売上高は、向こう6カ月の間に50%減少すると見込まれている。また、中国で確認される新型コロナウイルスの感染者が最も多かった時期には、不動産取引は80~90%減少していたという。

コンパスが扱う住宅の内覧件数も60%以上減っている。レフキンCEOは、「今後は大半の地域で自宅待機命令が出されることになるとみられており、さらに大幅に減少するだろう」と述べている。
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編集=木内涼子

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