ニュースサイト9to5Macによると、アップルの次期OSのiOS 14の初期ビルドから、CarKey機能が年内に発売される新型iPhoneで実用化されることが判明したという。
CarKeyは以前から、アップルペイと同様の生体認証機能を持ち、iPhoneやアップルウォッチで自動車のドアロックを解除し、エンジンを始動できる機能であると報じられてきた。この機能は、カーシェアリングなどでも応用可能であると見込まれている。
9to5MacはiOS 14のベータ版のソースコードから、アップルがCarKeyのパートナーとしてBMWを選んだことが分かったと述べた。BMWはこの件を否定せず、9to5Macに対し同社がモバイルデバイスと自動車の連携に関する業界団体、The Car Connectivity Consortium(CCC)に参加予定であると述べた。アップルは以前からCCCの一員だ。
さらに興味深いのは、CCCのパートナーにはGMやホンダ、現代自動車やフォルクスワーゲンが参加していることだ。LGやパナソニック、サムスンらもサードパーティとして、各自動車メーカーと連携を深めようとしている。
アップルが競合の電子メーカーと戦う上で有利となるのは、UWB(超広帯域無線通信)テクノロジーで先行している点だ。
CCCは、BLE(Bluetooth Low Energy)とUWB(超広帯域無線)の組み合わせをベースとした、スマートキー規格の開発を進めていると述べている。現状でUWB対応を果たしているスマホは、アップルのiPhone 11シリーズのみだ。
アップルは以前から、UWBが次世代テクノロジーを代表するものになると述べてきたが、CarKeyがその理想的な活用事例となることは明らかだ。生体認証システムを備えたセキュアなデジタルキーが、ブランドをまたいで利用可能になるとしたら素晴らしい。
CarKeyが人々の暮らしを大きく変えることは確実だ。テスラは既に、類似した仕組みをスマホのアプリで実現したが、それはテスラ車限定で使えるツールとなっている。
アップルは今から約6ヶ月後には、CarKeyをアナウンスする見通しだ。2月にリリースされたiOS 13.4のベータ版で、既にCarKey関連の記述は見つかっていたが、3月24日に公開の正式版にCarKeyに絡む記述はなかった。状況から考えて、アップルは今年9月公開のiOS 14 に、この機能を持ち越すと見るのが妥当だろう。
アップルは今年のiPhoneの新機種で、かなり野心的なプランを実現しようとしており、399ドルの廉価版的位置づけのiPhone 9や、先進的機能を盛り込んだフラッグシップモデルのiPhone 12への期待が高まっている。同社が自動車という新たなカテゴリでチャレンジを行うとしたら、今年は絶好のタイミングといえそうだ。