ビジネス

2020.03.26

米テック企業が相次ぎマスクを寄贈、アップル・FB・テスラも

アップルCEOのティム・クック(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

米国副大統領のマイク・ペンスは3月24日、アップルが新型コロナウイルスとの戦いに向けて、900万枚のN95マスクを医療機関に寄贈すると述べた。米国全土の医療機関が、適切なリソース不足にあえぐなか、カリフォルニア州のテクノロジー企業らは相次いで、支援を申し出ており、アップルもその一社に加わった。

ペンスは24日の記者会見で、アップルからの寄贈に感謝した。

アップルのティム・クックCEOは先週末、感染拡大と戦う人々を支援していくと述べ、米国と欧州の医療従事者に数百万枚のマスクを送ると宣言した。しかし、詳細については明らかにしていなかった。

米国疾病対策センター(CDC)によると、N95マスクは空気中の粒子の少なくとも95%を除去可能なもので、医療従事者の安全を守る上で必須のツールという。フェイスブックも、昨年のカリフォルニア州の山火事の際に購入し、備蓄していた72万枚のマスクを提供すると述べている。

フォーブスはアップルに対し、これらのマスクが山火事のために備蓄されたものなのか、もしくは、外部から何らかの理由で調達したものなのかを質問したが、現時点で回答は得られていない。

ニュースサイトRecodeのテディ・シュライファー記者は、国家の医療機関が政府の判断ミスを補うためにハイテク企業の寛大さに頼るべきではないと指摘した。

「問題の解決に向けて、私企業の慈善活動に頼ることにはリスクがある。政府は、前例のない緊急事態に対処するため、企業の寛大さに依存しているが、彼らの利他的な思想はいつ消えても不思議ではない」

N95マスクを医療機関に寄贈すると宣言したテック企業としては、アップルやフェイスブックに加え、テスラやセールスフォース、IBMがあげられる。

医療従事者の間からは、彼らを保護するためのマスクや防護服の用意が万全ではないとの声が相次いでいる。これらのリソースの不足は最前線の医療従事者を危険にさらすだけでなく、米国の医療システム全般をさらなる危機に追いやると、公衆衛生の専門家は指摘している。

ニューヨークとイリノイの州当局者は、トランプ政権が企業らに対し、さらに踏み込んだ対応を求めなかったことを批判している。

編集=上田裕資

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