ファーウェイの売上急落で鮮明化「スマホ業界の地殻変動」

Photo by Sean Gallup/Getty Images


期待の新端末もグーグルに非対応


ファーウェイの出荷台数は昨年2月からの1年間で約70%減少したが、シャオミは30%の減少で持ちこたえている。ファーウェイ社内からのリーク情報で、同社は今年20%の売上減を見込んでいるという。しかし、感染拡大の動向次第で売上はさらに落ち込む可能性がある。

そこに追い打ちをかけるのが、国内からの追い上げだ。シャオミCEOのレイ・ジュンは先日、「当社は今後、ハイエンド市場への進撃を開始する」と宣言し、最新の5G対応のフラッグシップモデルXiaomi Mi 10をアピールした。

ファーウェイにとっての1つの希望は、中国市場が正常に戻り、同社が強みを持つリアル店舗の販売網が力を取り戻すことだ。しかし、市場が長期的な影響を受け、その間に環境が激変してしまうこともあり得る。中国メディアは、市場が回復に向かうなかで、新たな5G端末のトレンドが押し寄せていると述べている。

一方、海外市場では今後も新型コロナウイルスの影響が売上に打撃を与えるだろう。そして、ファーウェイをさらに困難な立場に追い込むのがグーグルとの関係だ。同社は昨年、フラッグシップ端末のMate 30を、グーグルのサービスを搭載せずに発売したが、3月末に発表されるP40も、グーグルのアプリを搭載していない。

今年の初めにファーウェイは、従業員らに「生き残ることが最優先だ」と警告した。当時、問題になっていたのは純粋に、米国による禁輸措置から生じる端末の制限と、5Gの通信機器の問題だった。しかし、コロナウイルスの国際的な感染拡大と、国内の競合からの追い上げという複数の新たな課題が今、ファーウェイをさらに厳しい状況に追い込んでいる。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事