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World Restaurant Awards審査員


プライベートビューイングの開催は、営業禁止などで苦しむ世界の飲食業界に向けて、メッセージを送る意味もあった。

日本の受賞店のうち唯一のイタリア人シェフ、17位の「イル・リストランテ・ルカ・ファンティン」のルカ・ファンティン氏は、世界でも特に深刻な状況にあるイタリアに向けて、「イタリアに力を」と書かれたボードを集合写真の撮影時に掲げていた。

壇上で印象的な受賞コメントを発信したのが、2017年から毎年上位入賞を果たす「フロリレージュ」の川手寛康シェフだ。川手シェフの店も、空港が閉鎖されるなどの世界的な状況を受けて、海外からの客は90%がキャンセル。しかし、「営業停止になってしまった海外のシェフたちと比べると、日本で働いている自分たちは恵まれていると思います」と言い、次のように続けた。

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「傳」の長谷川在佑シェフ(左)、「フロリレージュ」の川手寛康シェフ(右)

「シェフの仕事の良いところは、世界にどこに行っても、料理が作れること。作り、食べて喜んでもらう楽しさが料理人の特権。料理ができなくなったら、どうしたら良いかわからない。そんな中で、この状況を心配した常連さんが、3カ月に1回ではなく、翌月にも予約を入れてくれたりする。そうした心配りが身にしみます。スタッフたちも強く感謝していて、いつもより高いレベルのおもてなしをしていけるのではないかと思います」

予想だにしなかった飲食業界を直撃する事態は、これからのレストランをどう変えていくのか。

「今の時代、お店に行かず、1人でデリバリーで届いたものを食べるということもできる。特に感染が拡大して、そういうサービスを利用する人も多いでしょう。そんな中で、『やっぱりレストランで食事をするのは楽しいね』とお客様を喜ばせることができるか。そういうレストランが残って行くと思います」

大人数での集まることがめっきり減った今だからこそ、人は心と心のつながりを求め、それレストランに求める。そこでサービスする側には、より一人一人のお客様を見たサービスが求められるのかもしれない。そう感じさせられるイベントだった。

文=仲山今日子

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