この研究は、2019年12月に学術誌「応用心理学ジャーナル(Journal of Applied Psychology)」に掲載された。
研究チームは、さまざまなタイプの「演技」に目をつけた。
論文著者のアリソン・ガブリエルによると、「表層演技(Surface acting)とは、他人に対して示している感情を、さも本心であるかのように演じていることである」と説明している。「心中では怒りや不満を覚えているとしても、表面上は精いっぱい陽気に、または前向きに振る舞おうとしている状態だ。一方、深層演技(Deep acting)は、内面の感情を変化させようと努めることである。深層演技をしているときは、自らの感情と、他人との接し方を実際に一致させようとしている」
表層演技は、「同僚と接するときには機嫌の良いふりをする」ことに同意するかで推し量ることができる。深層演技は、「同僚に対して示している感情を、実際に自ら感じようとしている」という答え方に表れる。(そうした行為はやや意図的なものであるため、深層演技という言い方には違和感があり、やや誤解を招く名称に思えるが、論文ではこの用語が使われている)
研究チームは、金融、製造、教育などさまざまな業界から集められた対象者を調査。その結果、大半の人が、以下の4タイプのいずれかに分類されることが明らかになった。「無演技者(Non actor)」は、演技をほとんどしないタイプ。「低演技者(low actor)」は、表層演技と深層演技が若干みられるタイプ。「深層演技者(deep actor)」は、深層演技が多く、表層演技が少ないタイプ。「調整演技者(regulator)」は、表層演技と深層演技の両方が多くみられるタイプだ。