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日本の高血圧患者数は約4300万人、患者数が最も多い生活習慣病と言われているのをご存知だろうか。そのうち、自身が高血圧であると認識していない人は1300万人、認識しているが血圧を下げる努力を何もしていない、管理不良者は3000万人にものぼるという。

このように、他の生活習慣病に比べ、高血圧に対する人々の危機意識が低いのは、身体的な症状がすぐには現れないことが原因だと考えられている。しかし、症状が見えにくくても、体のなかでは脳梗塞、心不全などの大病を発症するカウントダウンが始まっている。

現在、世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスの場合、感染して重症化した人のうち、約2分の1から3分の1は、もともと高血圧、糖尿病、心血管疾患などの根本的な医学的併存疾患があったことが報告されている。

その理由について、高血圧専門医であり、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科教授の市原淳弘氏は、次のように解説する。

「血圧高めの人の体は、高い血圧によって血管が常に強い圧力を受け、体内で炎症が継続的に起こっています。そのため、ウイルスなどの細菌が入ると免疫機能が暴走し、重症化を招くことになります。

ウイルスによって起きた免疫反応は、特に腎臓のような血管の多い臓器に影響を及ぼすため、血圧高めを放置していた人がウイルスに感染すると腎臓の機能が悪化し、重症化する引き金になるのです」

130/80mmHg以上は、高血圧または高血圧予備軍


近年、高血圧による病気のリスクは年々深刻化している。それを受け、2019年、日本高血圧学会では新たに高血圧の基準値が見直された。それによれば、上の血圧は130mmHg以上、下の血圧が80mmHg以上、どちらか一方の数値だけが当てはまった場合でも「高血圧」、または「血圧高め」ということになり、生活習慣の見直しが必要であるという。

高血圧の基準値の改定により、これまで以上に多くの人が「血圧高め」に当てはまることとなった。しかし、血圧が高めだとわかっても、生活習慣の見直しが難しく、高めの血圧を無視している人も少なくない。その理由のひとつとして、「血圧を下げる食事制限や運動は辛いというイメージがあるからでしょう」と市原氏は語り、次のように警鐘を鳴らす。

「生活習慣の見直しが必要な血圧高めの人たちが躊躇するのは、減塩の食事です。血圧を下げる食事、つまり減塩食は美味しくないと思い込み、行動に移せない人がたくさんいます。

一度、高血圧になった場合、同じ生活習慣を続けていれば数値は上がることはあっても、下がることはありません。血圧を下げるためには、日々の生活習慣の見直しが欠かせないのです」

今年から厚生労働省が推奨する食塩の1日当たりの摂取目標量が0.5gずつ引き下げられ、18歳以上の男性で7.5g未満、女性は6.5g未満となった。高血圧者の場合はさらに厳しく、1日6g未満が推奨されている。塩分6g程度というと、ラーメンをスープごと1杯、みそ汁2杯に少しおかずを食べれば、すぐに超えてしまう量だ。

文=山本美和

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