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baranq / shutterstock.com

レストラン業界が近年、来店者数の低下に悩まされているのは驚くことではない。しかし、ある特定タイプの客が、来店者を増やすための明るい材料を提供している。それは「おひとりさま」だ。

市場調査会社NPDグループが2020年3月3日に発表したデータによると、アメリカではレストラン全来店者のなかで占める「ひとりで食事をする顧客」の割合が、過去5年間で35%増と記録的に伸び、人数別の客層のなかで最大となった。続いて2位になったのが「2人連れの客」で、全来店者の27%を占めた。

NPDグループによると、アメリカ国内のレストランにひとり客が来店した回数は2019年に154億回となり、前年より1%増えた。一方、2人以上のグループ客が来店した回数は減少している。

注意してもらいたい点だが、こうした回数のほとんどは、テーブルに着席してフルサービスが受けられるレストラン(フルサービスレストラン:FSR)への来店ではない。2019年にひとり客が外食をした飲食店のおよそ89%は、迅速なサービスが受けられるレストラン(クイックサービスレストラン:QSR)だった。

NPDグループによると、来店回数には、オンラインのデリバリーサービスとテイクアウトの注文の両方が含まれており、注文した料理の多くは、自宅や職場、自動車のなかで食べられている。ひとり客が外食した飲食店のうち、フルサービスを受けて店内で食事をするタイプのレストランの割合はわずか10%だった。

ひとりで外食する主な要因は、手早さと利便性を求める人々の希望に加え、オンラインならびにセルフサービスでの注文増加を促すテクノロジーの存在だ。しかしNPDは、人口動態上の傾向も、ひと役買っていると指摘している。

アメリカではもう何年も前から、単身世帯数がじわじわと増え続けている。2019年には全世帯の28.4%を単身世帯数が占め、その割合は史上最大となった。米国勢調査局のデータによると、1969年に単身世帯が占めていた割合は16.7%だった。

いずれにしろ、ひとり客の需要は確実に存在する。たとえば、レストラン検索サービス「Yelp」で「solo dining(ひとりで外食)」と検索すると、ニューヨークのマンハッタンだけでも3000件近くがヒットする。

そうしたレビューを見てみると、ひとり客が歓迎されていると感じられるようなレストランや、ほかの客と隣り合って座れる共有用の大きなテーブルを置くなどして工夫しているレストランなどが、ひとり客から高い評価を受けている。

マンハッタンのヘルズ・キッチン地区にあるスペイン料理レストランに関するレビューを最近投稿したYelpユーザーの「Tony R」は、「ひとりで食事をするのがちょっと不安だった。場違いな感じがするだろうか?」と書いている。「レストランの紹介文は、とてもロマンチックな場所のようだったし、たしかにデートには最適だとわかった。(けれども)ひとりでもゆっくりくつろげたし、バーでの食事も歓迎されていた」

ひとり客の増加傾向は、アメリカだけで見られるものではない。NPDグループが2020年2月に公表した別の報告書によると、イギリスでは2019年、デリバリーを含むおひとりさまの「外食」が、外食全体の増加と比べて倍のペースで増加し、44億回に上った。この数字は、イギリスにおけるレストランでの外食総数116億回の5分の2近くだ。

さらにイギリスでは、ひとり客が自宅以外の場所で食事や飲み物を楽しむ際の平均支出額が、過去5年で16%増加している。こちらも、全体的な平均支出額を11%上回った。

NPDグループのフードサービス事業部ディレクター、ドミニク・オールポート(Dominic Allport)は2月の報告書で、「あらゆるタイプのレストランが、こうした傾向に対応し、成長中のおひとりさま市場の恩恵にあずかるべきだ」と述べた。「明らかに改善すべきなのは、内装を客がもっと入りやすく感じるようにすることだ。カウンター席を設ければ、ひとりきりで店内で飲食することに、あまり気後れしなくなる」

大人数グループがたくさんいても、ひとり客たちが居心地の悪さを感じずに済むよう、小さめのテーブルやソファーを集める配置方法も、「効果的なデザイン」だとオールポートは指摘した。また、店内に長時間滞在して仕事したいと考える人のために、引き出して使える机やコンセントのほか、アプリを使ってテーブルで注文できるシステムなども、顧客の支払額を増やしてもらえる工夫だという。

ひとりで外食することは恥ずかしいというイメージは、今後は存在しなくなっていくことだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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