検索サービスを軸に様々なサービスを生み出してきたグーグルは、インターネットの発展と共に世界を変えてきた。これまでのペイジの言葉から、彼の信念を探る。
グーグル共同創業者ラリー・ペイジ
スタンフォード大学で出会ったペイジとブリン。意気投合した2人は、共同で書き上げた論文を元にウェブ検索サービスを開発し、1998年にグーグルを創業。ガレージで始まった企業は、創業から6年で実現させた2004年8月のIPOによって、2人に巨額の資産をもたらした。
19年、フォーブスの世界長者番付で10位にランクインしたペイジの資産は508億ドルにのぼる。
1. 「そんなバカなことはできない」と誰もが思うことならば、競争相手はいないも同然だ
「世界中の情報を整理する」という目標を掲げているグーグル。創業前に、開発した検索サービスを「ヤフー」や「エキサイト」に売却しようとしたものの、評価を得ることはできず、実現しなかった。
ここでペイジは、発想を転換し「競争相手はいない」と判断。検索サービスを発展させていくことを選ぶ。ペイジのこの判断を否定する者はいないだろう。
2. アイデアに価値はない。それを実行できてはじめて価値になる
グーグルマップやグーグルアース、電子化された書籍を検索できるグーグルブックスなど、非常識だと思われていたアイデアを実現させてきたペイジ。
アイデアを思いつくことだけではなく、実現させることに執念を燃やすことになった原点には、幼い頃に読んだ天才発明家ニコラ・テスラの伝記にあるようだ。優れた頭脳とアイデアを持っていたテスラが、借金を抱えて人知れず亡くなる人生を送ったことに衝撃を受けたというペイジ。
伝記を読んで、「発明するだけでは駄目だと分かった。何としてもそれを世に送り出し、人に使わせ、何らかの成果を生まなければならない」という感想を抱き、世界を変えるためには、ビジネス面に考慮する重要性を学んだという。
3. 大胆な挑戦の末での失敗ならば、問題ではない
フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグが、グーグル在籍時にNPOに関する広告プロジェクトで大失敗した際に、ペイジはこの言葉をかけたという。
挑戦することに重きを置くグーグルには、グーグル+やグーグルリーダー、URL短縮ツールなど、撤退したサービスも少なくない。数多くのサービスをリリースし続けるグーグルに対し、マイクロソフト元CEOのスティーブ・バルマーは「球だけはたくさん投げているが、壁に当たったのはたった1球じゃないか」と批判した。
また、スティーブ・ジョブズも「君らは手を広げ過ぎだ」と注意したという。しかし、ペイジは自身の信念を貫き、今日の成功を手に入れている。
4. イノベーションは小さなグループから起こる
イノベーションを起こすことを重視しているペイジは、官僚的な組織を嫌っている。11年にCEOに復帰した際には組織再編にも手をつけ、管理職であるマネージャーを排除し、エンジニアの裁量を大きくする方向に舵をきった。
5. 夢を持つなら、とびきり野心的な方がいい。その方が前に進めるから
ペイジは夢で見た「ウェブ全体をダウンロードし、リンクの記録を取ること」というアイデアをブリンと共に実現させた。また、グーグルの親会社である「アルファベット」の傘下には不老不死を目指す「キャリコ」やドローン配送サービスの「プロジェクト・ウィング」など野心的なプロジェクトが多数ある。
19年12月にアルファベットのCEOを退任してからは、表舞台に立つ機会は少なくなったものの、“空飛ぶ自動車”を開発するベンチャー企業「キティ・ホーク」への投資など、イノベーションを起こす意欲は衰えていない。ペイジの言動は、今後も人々の注目を集めるだろう。
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