ワインに詳しくない私がワインを選ぶ、もう一つの方法

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酒は地域の食と共に自然に育まれる


スペインから帰国してしばらく経ったある日、あるイベントで、青梅市にある東京で一番歴史のある酒醸メーカー「澤乃井(小澤酒造)」の小澤順一郎社長さんが次のようにおっしゃっていました。

「今でこそ、全国のどこでも各地の酒を飲めるようになりましたが、もともと酒はその土地の人たちの生活に根付いて造られてきました。
例えば、四国は、太平洋側と瀬戸内側で酒の個性はが異なります。太平洋側の土佐(高知県)の名物「カツオ」は、野性味溢れる赤身の魚。なので、土佐の酒は、それに負けない「力のある淡麗辛口」タイプが多い。一方で瀬戸内側はヒラメなどの白身魚が揚がるので綺麗で上品な酒が多い。

はたまた京都は出汁文化。上品で淡い味わいの出汁の風味を損ねないために、甘く柔らかな味わいの酒が多く見られます。そんな酒を京都人は、熱さや冷たさで舌を刺激しないよう、ぬる燗にして、料理によりそうに供します。各地域で異なる食材、みそ、しょうゆなどの調味料あっての酒なので、その地域の料理とお酒は合うのは当然です」


酒は料理に合うように自然となっていく──。この考え方は万国共通なのだと改めて思いました。


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食べ物の95%は「土」に由来する


この記事では、「乾燥地帯」「雨が多い地帯」と乱暴に二極化しましたが、土研究の第一人者藤井一至さんによると、世界には12種類の土があるそうです。そして、藤井さんによると、食べ物の95%は土に由来するそうです。ということは、ワインも日本酒も、土に由来すると言えるでしょう。



料理や嗜好品は文化です。その文化の源が「土」。どんなワインを飲もうか迷ったら、世界地図を思い出して、そこで暮らしている人々の生活を思い浮かべながら選んでみてはいかがでしょうか。そして、いつか、その産地に赴いて答え合わせをするのも面白いと思います。

連載:旅する“元”広報
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文=南雲朋美

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