大迫傑、「マラソン大会」新設の真意──前例なき道を走り続ける原動力に迫る


マラソンという競技には、多くの人が共感するストーリーがある


──来年に新設されるマラソン大会は、まさに、マラソンやトラック競技において世界で活躍できる人材作りを担うものだと思いますが、現時点でお話しいただける具体的なプランはありますか。

まだお話しできないことばかりなのですが、大きな軸の一つは、「アフリカ系選手との差を縮めることを目的とした、日本選手強化のための大会」ということです。ただし、それだけでは自己満足で終わってしまうとも思っていて、いかに観客の皆さんに来てもらえるかも大事だと考えています。

具体的には、「お金を払って見るマラソン」を作り上げたいなと。観るマラソンレースとして、ファンの方々や観客のみなさんに新たな価値を提供できるような大会を考えています。僕だけのアイデアでは限界があるので、たくさんの方々にアドバイスをもらいながら、イメージは固まりつつあります。

──大迫さんのお話しを通じて、「オリンピックでメダルをとる」「新記録を出す」といったアスリートなら誰もが目指すであろう目標も、通過点のひとつと捉えていらっしゃるように感じました。

そうですね。オリンピックも、活躍することは当然ベストですが、それが目的というよりは今後のためという感覚もあります。むしろやはり、「自分が打ち込んでいる競技の価値を上げたい」という気持ちが強いです。



マラソンって、レース本番の時間自体も2時間超と長いですし、当然、食事のコントロールを含めた、練習時間も長く厳しい。ジャンルによっては、数時間トレーニングの後、夜は飲みに行くアスリートもいると思いますが、そうはいきません。

本番のレースはもちろん、それまでの準備の道のりも含めて、ストーリーがある。人生をマラソンに例える人がいるように、多くの方に共感してもらえる競技です。何より僕自身が、陸上選手のことを一番かっこいいと思っています。

その魅力をきちんと伝えることができれば、マラソンの価値は大きく高まるはず。新しいマラソン大会の実現をはじめ、きちんと形にしていきたいですね。

当然、新しいことを始めようとすれば批判もあります。ですが、同じテリトリーで出る杭になるから叩かれるのであって、叩かれる前に、別のところで飛び抜けてしまえばいい。新しいマラソン大会にも、是非期待してください。

文=伊勢真穂、写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

ForbesBrandVoice

人気記事