同社は、いったいどうやってベンチャー流のリターンをもたらすつもりなのだろうか。「メイブンは、高成長で2つの側面を持つ市場になっています。一方には何十万人もの美容の専門家が、もう一方には何百万人もの利用顧客がいます」と、アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツは語る。「メイブンはEコマース(電子商取引)事業でも、ヘア事業でもないことを理解することが重要です」。
メイブンが創業する前、黒人女性は主に韓国人が経営する美容用品店からヘアエクステンションを購入していた。「金はすべて、黒人コミュニティの外に流れていました」と、濃いグレーのTシャツとグレーのスウェットパンツに身を包み、一点の汚れもないグレーのナイキを素足で履いたイミラは言う。
さかのぼること03年、大学卒業後に中国の深圳で英語を教える仕事をしていたとき、イミラは会話レベルの標準中国語を習得しながら、中国製品を米国に輸入する方法を学んだ。最初は、20ドルのエアジョーダンの模倣品を友人たちに70ドルで売っていたという。05年にマイアミに移ると、今度は現金オンリーの輸入家具ビジネスを経営。数十万ドルの稼ぎを手にしていたが、こう振り返る。
「会社を持っていたわけではありませんでした。もうかりましたが、長く続けられるビジネスではありませんでした」
イミラはジョージア州立大学の国際ビジネスプログラムに参加し、ブラジルとパリのソルボンヌ大学で学び、10年にMBAを取得すると、何か事業を始めたいと考えたが、どんなビジネスをしたいのかわからなかったという。そこでオークランドにある母親の家に引っ越し、車の駐車係といった単純労働に従事しながら、次の一手をじっくりと考えた。