NYの刑務所で46人が集団感染、囚人の早期釈放求める声も

Photo by John Moore/Getty Images

ニューヨーク市更生局(DOC)は3月22日、市の刑務所の服役囚や職員ら46人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。感染拡大が米国全土に広まるなか、衛生環境が劣悪な刑務所内での感染の広がりを危惧する声が高まっている。

DOCによると刑務所の職員17人と、服役囚29人の感染が確認されたという。AP通信の報道によると、感染者のうち38人はイースト川に浮かぶ世界最大規模の矯正施設のライカーズ島刑務所にいるという。

ライカーズ島刑務所内では、さらに58人が隔離され、経過観察中とされている。更生局の暫定チェアウーマンを務めるJacqueline Shermanによると、囚人の多くは過去数週間を共有エリアで過ごしており、他の服役囚や職員と密接な距離にあった。感染者は今後、急増する見通しだ。

大人数を収容し、衛生管理も行き届かない刑務所はハイリスクな施設とみなされている。Shermanは感染拡大防止に向け、刑務所内の人口密度を引き下げることを提案しているが、これはアメリカ自由人権協会(ACLU)の主張と合致している。

ACLUは先週、刑務所内での感染拡大を防ぎ、公衆衛生上の危機を避けるため、囚人らを釈放することを求めていた。連邦刑務所局は既に、刑務所への外部からのアクセスを遮断し、受刑者の移送も停止している。

ワシントン州の刑務所で服役中のクリストファー・ブラックウェルと名乗る人物は、先日のバズフィードの取材に、「刑務所内の囚人は、手指消毒剤などのリソースがないために、米国疾病予防管理センター(CDC)が市民らに勧める感染予防措置が一切行えない」と述べていた。

フィラデルフィア州の裁判所は審理を停止し、警官らに非暴力犯罪の容疑者の逮捕を遅らせるよう要請した。ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、米国内で確認された新型コロナウイルスの感染者は3月22日時点で3万2000人を超え、死者は340人以上に達した。

ACLUで刑務所問題を担当する弁護士のMaria Morrisは、政治メディア「ザ・ヒル」の取材に、「囚人らは劣悪な環境に置かれ、石けんで手を洗うこともままならない。これにより、伝染病が急激に広がる懸念がある。さらに、刑務所内では重度の慢性疾患を抱えている人の割合が非常に高い」と述べていた。

編集=上田裕資

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