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2020.03.30 16:00

変化はエッジから起こる。Game Changer Catapultが考える、21世紀型企業と「未来のカデン」

Game Changer Catapult 代表 深田昌則

パナソニックは、従来の家電やエレクトロニクスの枠に止まらない新しい挑戦を続けている。日本を代表する大企業の中で、その挑戦の原動力となっているのは、社内で新規事業に取り組むチームだ。2回にわたって、パナソニックのイノベーションを担う新規事業チームを取り上げる。今回は、「未来のカデン」を掲げ、「発射台」として新規事業を次々に実現させてきたGame Changer Catapultに、その歩みとパナソニック自身の変化について聞いた。

Game Changer Catapult(GC カタパルト)は、パナソニックの中でも、家電、空調や業務用製品の開発・製造・販売を行うアプライアンス社に属する新規事業創出プラットフォームだ。価値のパラダイムシフトが起こり、技術革新やライフスタイルの多様化に伴って社会が大きく変わろうとしている中で、「未来のカデン」を生み出すことをテーマに掲げる。

嚥下障害がある方のための飲み物を生成する機械、周囲の空気まできれいにするマスク、子どもが絵の描き方を学ぶための支援サービス・・・。これまでの家電の姿とはまったく異なる、ハードウェアの枠を超えた体験をもたらすカデンを、GC カタパルトは生み出している。

今回、GC カタパルト代表の深田昌則に、Forbes JAPAN ウェブ編集長の林亜季が、GC カタパルトのこれまでの歩み、そしてGC カタパルトがパナソニックという巨大な企業に与えた影響について、話を聞いた。


Game Changer Catapultのロゴ


変化は外界と接する“エッジ領域”で起こる

 前回お話を伺ったのが約1年前ですが、その時と比べてみても、パナソニック全体におけるGC カタパルトの存在感は大きくなっていると感じます。残念ながらコロナウイルスの影響でイベント自体が中止になってしまいましたが、2017年・2018年とGC カタパルト単独で出展を行っていた「South by Southwest」(SXSW)へ、2020年はパナソニック全体として出展する予定でした。これも、その取り組みが全社に認められた結果ではないかと思います。

深田 正確に言うと、2017年と2018年のSXSWにGC カタパルト単独で出展したわけではなく、ブランドコミュニケーション本部からの協力も得ていました。また、2018年には我々が主体となって企画し、社内のデザイン部門Future Life Factoryや新しい取り組みを行っている100BANCHも参加する形態での出展を行い、トークセッションには社外や政府関係者の方々にも参加いただきました。当初からGC カタパルトは、パナソニック全社を、さらには日本に留まらない各国の社外の方々まで巻き込んでチャレンジするという意識でやってきました。

この流れで、2020年は正式にパナソニック全社で出展を行う予定でした。さらに経済産業省及びNEDOが主導し、落合陽一さんが総合プロデュースを務めるニュージャパンアイランズにも出展する予定を立てていました。周囲を巻き込んでいくという姿勢は初参加から一貫しています。

 一貫して取り組んでいますね。

深田 これが、何を示すのか。以前、ゼロックスのパロアルト研究所で所長を務めたジョン・シーリー・ブラウンさんと議論した際に、印象的だった話が、「20世紀型の企業活動と21世紀型の企業活動の違い」ということでした。

21世紀型の企業において、変化は、本社やコア事業などの中央ではなく、エッジ領域から起こる、というのが彼の考えです。GC カタパルトでは、まさにエッジ領域から全体を変化させていくということを実践しているのです。


Forbes JAPAN ウェブ編集長 林亜季


「GC カタパルトのようなことをやりたい」。周囲から上がる声

 2016年のGC カタパルト立ち上げ時と比べると、パナソニック社内においてもかなり潮目は変わってきているように見えます。

深田 まだまだ、道半ばですね。確かに今、社内で改革のようなものが起こりつつあります。しかし、それはGC カタパルトから起こったというよりは、同時期に同じような想いを持っている人たちがたくさん社内にいて、緩く繋がりながら、社内で新しいうねりを起こしてということではないでしょうか。ただ、新しい収益の柱が見つかり、それに対して計画が呼応しながらリソースを投入するところまでは行っていません。そういうところに早く結び付けていきたいですね。

 GC カタパルトへの社内の評価については、どのように感じられていますか。

深田 そもそも我々は社内での評価だけを目標に事業を行っているわけではありません。困っている人たちに対して役に立ちたい、社会課題を解決したいというのがGC カタパルトの目標です。それでも、こうした事業が利益や大きな事業につながると仮説を立てていますし、GC カタパルト活動が経営幹部の一部にも共感され始めてはいると思います。

 GC カタパルトの社内での立ち位置や評価が変化してきたことを感じるのは、どのようなときでしょうか。

深田 社内外の様々な方から「あのプロジェクトはどのように実現させたのか」とか、「自分たちもGC カタパルトのようなことをやりたいのだが、どうしたらいいか」といった相談を多くいただくようになりました。GC カタパルトはできるだけオープンにやろうと考えていて、そのプロセスやノウハウも公開しています。相談に応えてノウハウを共有していくということもかなりやっています。

 やはり、事業アイデアの作り方といった点についての質問が多いですか。

深田 そうですね。また、プロダクト自体や、コンテストへの取り組み方について相談を受けることもあります。どうやれば上司の決裁を取れるのか、そんな相談もありますね。



 こうしたお話を聞くと、パナソニックという大きな企業の変化の中の真ん中に、GC カタパルトはいるように見えます。

深田 もちろんパナソニック本体でも、イノベーションを起こすための活動に取り組んでいて、社外の人材も積極的に採用しています。シリコンバレーで、Panasonic βを立ち上げたこともそうですよね。GC カタパルトも、社内のイノベーションを担う部門同士として、Panasonic βと横の連携を取って議論もしていますが、社内のイノベーションを担う人たちが少しずつ繋がり始めているというのはあります。

ただ、全社を見渡したら、我々のようなことやっているのは本当に一部で、社内ではまだ知らない人が多い。しかし、我々の矜持としてGC カタパルトは、感度の高い、社外の動きも柔軟に社内に反映させることができる、エッジな部門であるべきだと考えています。だから、「やんちゃな存在」という位置付けはあまり崩したくないです。

 若い世代の活躍も目立ちます。若い方同士で横のつながりを作ったり、社外へ出たりといった新しいカルチャーを担うという意味でも、GC カタパルトの役割は大きいです。こうしたカルチャーは、むしろ本来のパナソニックらしさということなのかもしれませんが。

深田 若い人たちが多いのは事実ですが、それよりも、パッションを持っているかが重要です。GC カタパルト出身者を「カタパリスト」と呼んでいますが、カタパリストにはシニアの社員も多くて、中堅社員がチャレンジするケースも多いです。社会課題を解決したい、新しい事業をつくりたいという社員は、若い人に限らず、それぞれの世代にいるということです。

 中堅社員やベテランまで巻き込んでいるとなると、全社に与える影響はさらに大きいのですね。


カタパリストがパナソニックを変革する

 現在、リテンションやインナーブランディングを課題にしている会社は多いです。GC カタパルトの取り組みの大きな目的は社会改題の解決や新規事業の創出ですが、一方でこのような課題に対しても機能しているのではないでしょうか。

深田 それはあるかもしれません。GCカタパルトのビジネスコンテストを通過し事業化プロセスを経験したカタパリストはこの4年で120人を超え、社内ピッチイベントなどでの参加者を含めたGCカタパルトのメーリングリストへの参加者は700人を超えるんですよ。

 700人も!

深田 GC カタパルトのプロセスを経験した人や共感している人が、社内に700人いるということです。そんなカタパリストが、たとえ新規事業を生み出せなくても、それぞれの部署に戻って活躍するケースが多い。そういう意味で、社内へ影響を与えているかもしれませんが、社員の多い会社なので、まだまだクリティカル・マスには到達してはいない。

それから、GC カタパルトには新規事業をつくる以外に、例えばUX(ユーザー・エクスペリエンス)のような思想や、新しいビジネスモデルを社内に広めていくというミッションもあります。カタパリストの活躍は、オープンイノベーションのための風土作りにも貢献しています。


嚥下障害の方のためのとろみ飲料を作る「Swallowee(スワロウィー)」。このプロジェクトも、近親者の嚥下障害をきっかけにそれを解決する製品を作りたいと考えたカタパリストの想いが実現させた

 現状に満足していない社員が新しいチャレンジをしてみようとか、カタパリストとしての経験を通じて変わった同期社員の姿を見て自分も頑張ろうと起きているのではないでしょうか。

深田 カタパリストの中から、経産省のプログラムに応募する人が増えていて、選考を通過してシリコンバレー行きを実現した人もいます。GC カタパルトの活動を見て、それをきっかけに社外へチャレンジする人も増えています。


家電が備える「社会課題解決」の部分をデジタルに置き換える

 GC カタパルトが掲げている「未来のカデン」について、改めてお話を伺いたいです。GC カタパルトが手がけたおにぎりをつくるロボット「OniRobot(オニロボ)」を見たとき、おにぎりが美味しかっただけでなく、このOniRobotがあれば、世界中どこでもおにぎり屋さんができるのだという世界観がとても面白いと思いました。家電とは、世界を変えたり、人々の暮らしを変えたり、新しい価値を生み出すといった可能性を持っていると実感させられました。GC カタパルトが提案するカデンは、ハードという範疇にとどまらず、それによって世の中をどう変える、課題をどう解決するかを強く意識されています。

深田 「カデン」をカタカナにしているのは、それがハードウェアとは限らないからです。モノからコトへのシフト、暮らしにまつわるサービス、コンテンツによる価値提供・・・そういったものを含めた事業コンセプトなのです。カデンとすることで、従来の家電製品ではないことを明確にしています。自動車からモビリティーへ事業領域を再定義する自動車メーカーのように、家電からカデンへ事業領域を再定義したいというのが我々の思いです。

パナソニックは家電事業をどうすべきなのかという議論がありますよね。我々がいったん出した答えは、従来のハードウェアの家電事業、例えばテレビとか冷蔵庫とか、そういったものにこだわっていると、デジタルトランスフォーメーションの時代を戦っていくのは難しいだろうということです。

ならば何が重要なのか。家電製品がこれまで担ってきた社会課題解決の部分に関して、「デジタル」や「サービス」で置き換えることだと考えています。それは、GC カタパルトが新規事業としてやるべきことでもあります。従来の家電産業をそのまま続けるのであれば、先細りになるのは当たり前。未来のカデン産業をつくることが、我々のミッションです。

 本来であれば今年のSXSWに出展する予定だったプロジェクトも、どれもハードウェアという枠を超えたプロダクトです。例えば、このAiryTail(エアリーテール)というマスクは、自分だけでなく、周囲の空気まできれいにするというコンセプトがユニークです。

深田 AiryTail は“地球家電”という名前を付けてプレゼンをしてきたプロジェクトで、地球のためになるカデンとはどんなものなのか、議論をしながら作り上げてきました。

基本はマスクですが、自分が吸う空気だけではなくて、きれいにした空気を排出することで、周囲の空気もきれいにするマスクという提案です。新興国では排気ガスや大気汚染の問題があるなかで、バイクで移動するためにマスクは必須という背景があるのですが、このAiryTailを装着して時速30キロで走行すると、30人分くらいの空気を綺麗にすることができます。

 まさに環境にやさしい家電です。


AiryTailの装着イメージ

深田 まだ実験段階ですが、AiryTailを5万人や10万人という規模で使ったら、空気の清浄作用は大きくなるはずです。そして、アプリでその効果を見えるようにする。コレクティブ・ナレッジに近い、ソーシャル・アクション型ソリューションのパターンですね。一人一人の貢献度は小さくても、町全体、社会全体で、インパクトを与えるというアプローチです。

デジタルによって、社会全体の取り組みをリアルに見える化できる。この発想を使うと、AiryTailに限らず、様々な新しい家電を生み出すことができると思います。

 特にミレニアルやZ世代は、こういう文脈にすごくよく反応してくれます。自分だけでなく、世の中を良くするようなものが受け入れられやすいのではないでしょうか。


「未来のカデン」はハードウェアとは限らない

 今、D to C(Direct-to-Consumer)の文脈が注目されています。スニーカーのAllbirds(オールバーズ)、キャリーバッグのAwayといったブランドなどは、モノを売りながら、世界感やストーリーを同時に届けることで支持を集めています。GC カタパルトが目指すところに、こうしたブランドには共通点があると思います。

深田 もっと先へ行きたいですね。今挙げられた例は、どちらかといえば、従来通りにハードウェアを売っていますよね。

 その通りです。

深田 GC カタパルトの使命は、ハードウェアが担ってきた価値提供を、ソフトウェアやコンテンツへ置き換えることです。また、同じ事業をやるにしても、単に利益だけが目的ではなく、社会にどのように貢献するのかというストーリーも重要です。ハードウェア産業からソフトウェア産業に移るというような話ではありません。

手段は変わりますが、パナソニックはもともとお客様の課題解決を目指す会社なので、その目的は変わりません。GoogleやAmazonとどう戦うか、というような話ではなく、暮らしの中の様々な悩み事や願いを解決したり実現したりしていくことが目的なのです。

 目的が変わらないとしても、パナソニックアプライアンス社、あるいはパナソニックそのものの再定義するものであることにはちがいありません。

深田 その通りです。だだし、あまり偉そうに言うと角が立つので、それは皆さんには明確に意識させず、ことさら言わずにむしろスムーズにトランジション出来るようにやっていますね(笑)。


「DrawNet(ドローネット)」はお絵描きを通して子どもの自由な発想を引き出すオンライン教育サービス。描いた絵をシェアするだけでなく、プロのクリエイターが様々な課題を提供することで、子どものクリエイティビティの可能性を広げる。まさにハードウェアの範疇ではないプロジェクトだ


20世紀型企業と、GC カタパルトが目指す21世紀型企業のちがいとは?

 GC カタパルトが考えるパナソニックが目指すべき方向とはどのようなものでしょうか。

深田 先ほどの話につながりますが、20世紀型の企業活動から、21世紀型の企業活動へ移行していく必要があると思っています。

従来は大量生産・大量販売というようなビジネスモデルだったのが、現在では大量カスタム化というようなトレンドも起こっています。そして、モノ的価値からコト的価値へ、体験価値が重視されるようになってきた。高効率、改善重視の仕事のやり方から、全く新しい価値創造が求められている。そうした中で、業績評価や目標管理による成果よりも、個人のパッションとか個人のモチベーションを大事にして成果を挙げていくというやり方に、変えていきたい。だからGC カタパルトでは、自らの想いを持った人が、その想いに素直に反応してプロジェクトに関わっていくことにこだわっています。

株主価値重視からパーパス重視へといった言葉でも語られていますが、これまでは上司が掲げた会社の戦略を一生懸命実行し、それをやる人が出世した。これからは、自分の想いのある分野に、自らのモチベーションで、行動を起こして、実現してしまう人たちが求められているのではないでしょうか。ベンチャーキャピタルがスタートアップ企業に出資する理由もそういうところで、従来の資本主義の考え方でだけでやってはいけない。パッションやモチベーションを持つ人がビジョンを発信することが大事で、それが株価を上げるのですよね。



パナソニックという企業の進化

 21世紀型の企業活動が求められるなかで、パナソニックは進化しているのでしょうか。

深田 佐宗邦威さんは近著『VISION DRIVEN INNOVATION』で、企業の新規事業への取り組みについて4つの類型を挙げ、その中でGC カタパルトを取りあげています。既存事業をベースにするのか新規事業部で行うのか、タネを内/外のどちらでつくるのかで分類しているのですが、GCCは「出島型」に分類されています。社内で事業のタネを作り、既存部門ではなく、GC カタパルトという出島で事業に取り組むということですね。

 わかりやすい例えです。

深田 ただ、今は出島型ですが、これからは他のやり方へ進化していきたい、あるいは、他の方法と組み合わせてやっていきたいというのもあります。

もうひとつ、若林恵さんが編集された『NEXT GENERATION GOVERNMENT』という本の中で、マックス・ウェーバーが定式化した官僚制の限界についてクリスチャン・ベイソンが行った考察が引用されている。ここで官僚制を「これまでの政府」と表現していますが、そのまま「これまでの企業」と置き換えることができるはずです。

これまでの企業は、分業・ヒエラルキー・選抜・垂直的キャリア・厳格なルール・非個性といった要素をベースとして、効率性や予測可能性の元に事業作りを行ってきました。それが次世代の企業では、分業ではなくて横断性、ヒエラルキーではなく対等性・水平性、選抜ではなく主体性や共感性が重視されるようになると。まさに、GCカタパルトが大切にしてきた、自らのパッションと共感性です。

 まさに、ぴったりと当てはまりますね。

深田 垂直的キャリアから横断的なキャリアへ、これも重要ですね。厳格なルールから柔軟かつ臨機応変なルールに変えていくべきだということも。そして、非個性から個性へ。これが重要で、これまでの企業では、仕事は誰がやってもできるようになっていました。だから、個性は関係ない、むしろ個性は駄目だと言われていた。しかし、次世代では個性が大事になるという話です。こうした話は、企業においても当てはまります。

 私も同感です。

深田 企業が変わっていないことが、特に日本における問題です。全員に行き渡るというよりは、本当に困っている人たちにしっかり届くような、それぞれニーズが全部カスタマイズされたサービスの提供が求められている。そこでは個性がより重要になる。非常に分かりやすい構図です。

 Forbes JAPANでも、個の時代であることを強調し、組織内の個人を抑圧するのではなく、組織内の個人インフルエンサーを歓迎することの必要性を説いてきました。まさしくそれと同じことだと思いました。


松下幸之助は、テックで社会課題解決する会社を創業した

 21世紀型の企業活動において、パッションや個人の想いでやっていくということが、もう一度、主流になってくるのではないでしょうか。たぶん、100年前のパナソニックも、そういうふうに生まれたのではないかと思うのですね。21世紀型のスタートアップだったのではないかと。そして今、100年前の創業期のような状態に、もう一回戻って行こうという機運が高まっているように見えます。

深田 はい。創業者の松下幸之助は、テックで社会課題を解決する会社を始めたのです。その意味で、現代のスタートアップと一緒です。1920年代当時のテックは、エレクトロニクスが登場し、電気という新しいエネルギー源が産業に使われ始めた時代でした。松下幸之助は、電気とセットでものづくりを行うことで、貧しい人たちを救えると考えた。貧困の撲滅は、当時の社会課題だったのです。

しかし、1人の人間が考えただけでは人があつまらないので、自分の奥さんと弟の3人で会社を始めました。約15年後には160人規模になっていましたが、そのときに松下幸之助は、有名な水道哲学や250年計画というビジョンを掲げます。ビジョンを語ると、たくさんの人が松下電器に入ってきて、さらに会社が大きくなりました。今のスタートアップと似ていますよね。



それからもう一つ、松下幸之助のビジョンの中には、世界の暮らしを豊かにしていこうという考えがありました。最近また、ウェルビーイングと言われていますが、松下幸之助はウェルビーイングを高めるというビジョンを、まさに現代と同じ文脈で語っています。

 まさに、現代にも通用するビジョンですね。

深田 産業革命や電気革命、あるいはインターネット革命のとき、新しい技術の導入は社会課題の解決を実現しました。しかし、その後しばらくすると飽和状態になって、また異なる社会課題が生まれてくる。そこでまた新しい技術が生まれ、その社会課題を解決していく・・・そんな循環があるように感じています。その意味では、当時も今が変わらないのは当たり前なのかもしれません。

今、再び新しい社会課題がたくさん生まれ、それを新しい技術で解決できる時代が来ていると。ただし、現代はデジタルの時代になったので、ハードウェアを介すことなく、即時に問題を解決することも可能になってきている。これは当時より進化している点です。逆に、どれだけ早くできるか、臨機応変にできるかを実践することが求められます。

 プロダクトにもアップデートが求められています。

深田 AIもそうですよね。手段が変わっただけで、世の中の幸せをどうやって作るのか、そこは変わっていない。GC カタパルトが目指す「未来のカデン」が目指すのは、その変わらない部分だと思います。

 本日はありがとうございました。


Game Changer Catapult
https://gcccatapult.panasonic.com/


パナソニック
https://www.panasonic.com/jp/top.html



ロボティクスは人の幸福にいかにに寄り添えるのか ——
SXSWで実施予定だったセッションが4月9日にオンライン開催



パナソニックは4月9日午前10時より約1時間、バーチャルパネルセッション「Robotics for Well-Being」をオンラインで開催。Zoomからライブ視聴が行える。

当初、本セッションは米テキサス州オースティンで3月開催予定だった「SXSW 2020」にて実施を予定していたが、新型コロナウイルスの影響でイベント全体がキャンセルとなっていた。

セッションには、ロボティクス技術がもたらす自己拡張(Augmentation)をテーマに研究開発を行うための組織「Aug Lab」のリーダーである 安藤健がスピーカーとして登壇する。SXSW2020中止の告知を受け、安藤は準備を重ねていた他のスピーカーと協議。「今こそ人の幸福にロボティクスがいかに寄り添えるか語り合い、世界に発信すべき」との結論に至り、今回の実施に至ったという。

スピーカーには、安藤と共に、Entertainment AI創業者のAnn Greenberg、 Earth Tech InternationalのCEOであるHarold E Puthoffが登壇。Ann Greenbergはデジタルメディア黎明期の先駆者の一人であり、起業家/発明家として活躍。IONとGracenoteの共同創業者としても知られている。Harold E Puthoffはスタンフォード大学で物理学者として博士号を取得。CIA、NSAに勤務後、現在の活動範囲は理論電子力学から量子真空まで及ぶ。モデレーターは、シリアルアントレプレナー/ベンチャーキャピタリストのSandeep Kumar(KizkiファンドおよびGAP パートナー)が務める。

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