「京都悠洛ホテル Mギャラリー」が目指す、ブティックホテルというマーケットの創出

京都悠洛ホテルMギャラリー


支配人の田中一徳氏によれば、宿泊者の割合は欧米人が40%、日本人が20%とのこと。

「欧米のゲストの方は5泊や少なくても3泊程度滞在されて、文化的にバーの利用頻度が高いんです。外出先から戻って昼間から使用される方も多いし、食事前に一度、食後に一度という方もいらっしゃる。そういう方々からこのバーはとても居心地がいいとお褒めの言葉をいただきますね」

もちろん宿泊者でなくても利用可能。バーで憩うコツをここなら体得できそうだ。


絹ごし豆腐を潰し、木津川クローバー牧場産の特別牛乳とイタリアのアマレットを合わせたカクテル「MAIKO─舞妓」。浮かんでいる苺は舞妓さんの紅を表現している。カクテル全品半額になるHappy Hourも開催中(毎日16:00〜19:00)

女性にとって忘れがたき宿泊となるように


京都悠洛ホテル Mギャラリーのユニークなコンセプトが、「Inspired by Her」だ。田中氏が続ける。

「究極の女性向けホテルを目指しているんです。具体的に言うと、安全かつ快適であると感じること、ウェルカムキット&サービスにより心の安らぎと幸福感を得られること、健康的でバランスのとれた食事とドリンクを提供すること。女性の滞在が素敵な、意味のあるものになるように心がけています」


(左)フランスの高級スパブランド「サンクモンド」のバスアメニティ (右)京都の老舗「祇園辻利」の日本茶セレクション

確かにゲストルームは西陣織など伝統工芸を用いたインテリアを各所に配し、非常にシックだがあたたかみのある、女性好みのデザインで統一されている。スイートだとウォークインクローゼットが想像以上に広くて使い勝手がよく、家族連れの長期滞在にもうってつけだという。

また、英シモンズ社製のベッドは、マットレスの上に羽毛入りの7cm厚のトッパーを採用していてふかふかで寝心地がよく、翌朝の目覚めは快適そのものだった。


客室数は全144、部屋タイプはスイートを含めて5つ。写真は「デラックスルーム」

2000年代に入り、世界的潮流になってきた「ブティックホテル」として、京都悠洛ホテル Mギャラリーも「その土地の文化や魅力を映し出す、独創的で世界にひとつしかないホテル」を目指す。

「我々のビジョンは京都でいちばんのブティックホテルになること。プロダクトに関しては絶対的な自信があるし、ここまでストーリーを打ち出してこだわってつくったホテルは、京都にはうちだけだと自負しています。ただし、ホテル単体で頑張っても難しい。競合他社さんが出てきて、初めてマーケットとして成立するので、これから生まれるブティックホテルをライバル、かつマーケットを盛り立てていく仲間として、ともに切磋琢磨していきたいと考えています」


(左)日本画の顔料・胡粉(ごふん)を使ったマニュキュア(10色)(右)京都の地名にちなんだオリジナルアロマオイル(8種)。どちらも宿泊客は無料で利用できる
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文=堀 香織 写真=山本マオ

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