「京都悠洛ホテル Mギャラリー」が目指す、ブティックホテルというマーケットの創出

京都悠洛ホテルMギャラリー

「京都悠洛(ゆら)ホテル Mギャラリー」が4月26日に開業1周年を迎える。東海道五十三次の西の終点「三条大橋」で、ゲストを“日本のミステリアスな隠れ家”へといざなうホテルが目指す今後のビジョンとは?

非日常へといざなう装置


例えば、劇場ホール──。二枚の扉に挟まれた暗い通路を通り過ぎると、いきなりぽっかりと天井高のある広々とした空間が現れ、奥の舞台には時代や風俗、文化、心象風景などを反映した見事な異次元空間(セット)が組まれている。「京都悠洛ホテル Mギャラリー」を訪れたとき、それに似た高揚感を感じた。

一見、高級マンションかなと思うような現代風のオーソドックスな外観を横目に玄関を入ると、外からは想像もつかなかった立派な一本松が出迎える。


京都・桂離宮の「住吉の松」をイメージしたオブジェ。ミステリアスな隠れ家へいざなう役目を果たす

だが、その位置からはホテルの全体像はつかめない。右に伸びる通路に続き、階段を降りてようやく、ホテルのシンボルでもある鮮やかな青い竹林と、それを取り囲むように配置されたスタイリッシュな設えのラウンジやバーが目に飛び込んでくるのだ。

自然と人工物の一体化が歴史と文化の折り重なりを象徴するかのように、ゲストを一瞬にして非日常にいざなう。感嘆を漏らす人は決して少なくない。

高揚感の持続する唯一無二の設えとサービス


京都悠洛ホテル Mギャラリーは、仏アコーグループのアッパースケールブランドである“Mギャラリーホテルコレクション”のひとつで、日本では初上陸。東海道五十三次の西の終点であり、京都の玄関口でもある三条大橋のふもとに建てられた理由を尋ねると、日本に西洋文化が流れ込んできた大正時代においても独自の文化や習慣を留めつつ、和と洋の文化の融合を成し得た土地であるがゆえだという。

そのような歴史の香りは、ホテル内の至るところで感じられる。

まずは階段を降りて右のチェックインエリアへ。ここは「華族の邸宅」というコンセプトで、主人のコレクションである調度品が飾られている。


(左)チェックインエリアのラウンジ。壁には美しいペルシャ絨毯が飾られる (右)飾り棚に並ぶ伊万里焼などの調度品

左手には、昼はアフタヌーンティーを、夜はスタンダードなドリンクから京都の女性にインスパイアされたオリジナルカクテルまで楽しめるラウンジ&バー「1867」がある。1867とは、大政奉還の行われた年のことで、「タイムトラベル」を反映したクラシカルな内装となっている。


4月30日までは苺や春野菜をふんだんに使った「スプリング アフタヌーンティー」を提供中(2800円)
次ページ > 宿泊者の割合は欧米人40%、日本人20%

文=堀 香織 写真=山本マオ

タグ:

連載

Forbes TRAVEL

ForbesBrandVoice

人気記事