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朝日新聞編集委員(朝鮮半島、米朝・日米関係担当)

LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇(Jason Reed - Pool/Getty Images)

米軍、オーストラリア軍、そして自衛隊が参加した合同演習を密かに偵察していた中国情報収集艦。注目されるだけの大きな意義をもつ演習だったが、そこで見えてきたのは日本国内が抱える別の事情だった。牧野愛博氏が現地取材でお送りする大好評連載の第5弾!


昨年7月、オーストラリア公共放送ABCが、豪国防省から得た情報として、中国軍情報収集艦の動きを伝えた。ドンディアオ級情報収集艦がパプアニューギニア沖から向かった先は、オーストラリア北東部クーンズランド州近海。そこでは、米豪両軍と自衛隊による合同軍事演習「タリスマン・セーバー」が行われていた。この情報収集艦は電波情報やミサイル発射時のデータなどを収集・分析する能力がある。おそらく、演習で行われる着上陸作戦の手順や各軍の連携などを調べる狙いがあったとみられる。

自衛隊の参加は3回目。しかし、装備もなく、米豪演習の視察の域を出なかった初回、60人くらいの参加で降下訓練ぐらいにしか参加できなかった2回目から大きく飛躍し、陸上自衛隊幹部が「自衛隊独自の着上陸演習ができた」と胸を張る本格的な参加となった。

18年に創設された水陸両用の作戦能力を持つ陸自水陸機動団など計330人が、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」と輸送艦「しもきた」とともに、豪州に派遣された。そして、ショーウォルター湾から内陸数十キロに及ぶ演習地を使って、着上陸演習を行った。

自衛隊関係者らによれば、第2次大戦当時、太平洋で旧日本軍が遭遇した戦闘は、ほとんどが島々に上陸してくる米軍を迎え撃つもので、本格的な着上陸作戦を行った経験が不足している。昨夏の演習で、自衛隊は目的地を占領している敵軍の偵察を皮切りに、主力部隊や火力兵器、兵站部隊の上陸、橋頭堡の確保、さらに内陸への進軍と、次々に与えられたメニューをこなしていった。関係者の1人は「単に上陸するだけでは意味がない。実戦と同じように切れ目のない演習ができた」と語る。

文・写真(ジョン・リー氏)=牧野愛博

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