グーグルは今後、通信事業者に影響を与える3つのエリアに焦点を当てている。
1.5Gとエッジ領域のマネタイズ
5Gにより、通信事業者はこれまでにないスピードと帯域を企業に提供できるようになる。4G/LTEが一般のモバイルユーザーを対象としていたのに対して5Gは企業をターゲットとしており、既存の有線ネットワークは高速でセキュアなRAN(Radio Access Network)に置き換わるだろう。
通信事業者のネットワークはクラウドにつながるパイプの役割を果たし、企業向けのエッジコンピューティング・レイヤーを提供することが可能になる。グーグルが掲げるビジョンは、GCP(グーグル クラウド プラットフォーム)が使える最先端のエッジコンピューティングの基盤を通信事業者に提供することだ。通信事業者は、グーグルとの提携で5Gネットワークを用いたサービスのマネタイズがしやすくなる。
AT&Tは、グーグルと組んで企業向けに5Gエッジコンピューティングのソリューションを構築している。グーグルのクーべネティス(Kubernetes)やAIと、AT&Tの巨大なネットワークが連携することが大きな強みになる。
2.データとAIの活用による顧客体験の向上
5Gの登場により、消費者のAR(拡張現実)やVR(仮想現実)における没入体験が向上する。コンピュータビジョン技術の普及は小売業界に変革をもたらし、アマゾンGOのようなショッピング体験が当たり前になるだろう。また、スマートシティやスマートヘルスケアなども現実のものとなる。
グーグルは、アナリティクスや機械学習、AIの分野のリーダーであり、開発者や企業が次世代の消費者体験を構築する上で必要なテクノロジーを通信事業者に提供できる。同社は、「Contact Center AI」のように、企業が人的リソースを削減しながら顧客サービスを向上することを支援するソリューションを提供したいと考えている。
3.オペレーション効率の向上
5Gの登場により通信事業者は、既存のレガシー化したネットワークをどう管理するかという課題に直面する。通信事業者は、プラットフォームを近代化し、効率化を図る必要がある。
グーグルは、OSS(オペレーションサポートシステム)やBSS(ビジネスサポートシステム)、ネットワーク機能をクラウドプラットフォーム上で提供したいと考えている。同社によると、これにより通信事業者はコストを削減することに加え、IT効率を高め、グーグルクラウドを使うことでネットワーク機能を仮想化できるという。