乳がんという「転機」


2017年7月29日。「無理しないでね」と、よく言われるようになった。

乳がんを経験したことを隠していないので、「無理しないでね」と心配してくださる。それはありがたいのだが、困ったことに、これまで特に無理をしていたという自覚がないのだ。だから無理をするなと言われても、なにをどうしたらいいのかわからない。

あ、あるある。1日に会議が10個くらいあって、走って移動していたこと。あれは、40代後半という年齢を考えると立派な「無理」だ。たぶん「無理」のセンサーが麻痺していたのだろう。

きっとほかにもたくさん「無理」をしていたのかもしれないが、滅入るので犯人探しはしたくない。たまに私の代わりに犯人探しをしてくれる人もいるが、変えられない過去に文句を言っても希望がない。

今と、これからに、目を向けたい。今と、これからの私は、どうしたいのか。

12の「〇〇しない」リスト


会社の研修でお世話になった一橋大学の楠木健先生の「◯◯する、のでなく、◯◯しない、と決めるのが戦略だ」との教えに従って、考えてみた。

❌やりたくないことはやらない。
❌嫌いな人とはつきあわない。
❌白米は食べない。
❌肉ばかり食べない。
❌早食いはしない。
❌塩、油、砂糖は極力食べない。
❌浅い呼吸ばかりしない。
❌ストレスには近づかない。
❌寝不足はしない。
❌カラダに悪そうな外食はしない。
❌長く着なそうな服は買わない。
❌質の悪い時間の過ごし方をしない。

……楠木先生のおっしゃっていた通りだ!「◯◯しない」は、具体的なアクションにつなげやすい。

再発予防のためにできること。偉大な両親


2017年8月7日。私にとってはほぼ社員食堂化している「チャヤマクロビ」。国産有機玄米やオーガニックの農産物を使用しているお店だ。高いけど、カラダに悪いものは食べていない、と実感できる精神安定剤。カラダというよりココロの治療かもしれない。

再発予防のためにできること、私の場合は大きく3つ。
(1)ストレスには立ち向かわない。
(2)無意識に食べない。
(3)引きこもらない。

そういえば、うちの両親は80歳と76歳だが、いまだにゴルフが趣味で、友達がいて、がんとも無縁、毎日元気で楽しそうだ。考えてみると、上記(1)(2)(3)すべて自然体で実践できている。

全力でがんばるけど無理はしない、流れに身を任せるタイミングが絶妙、おいしいごはんを楽しみながら手作りして、世界一料理上手(だと私は思う)なのに毎度毎度さらなるおいしさを追求していて、フットワークがよく、お店の人とすぐ友達になって、気に入ったら何度でも通い、店員さんのことをフルネームで覚えて次に行ったときには名前で呼びかけて……ココロのオープンネスが半端ない。もしや偉大な両親なのかもしれない。見習わねば。

せっかくがん家系じゃなかったのだから、がんは、私で断ち切りたい。一代限りの異常事態ということにしよう。

それにしてもこの唐揚げ、オール大豆とは思えない。どう噛んでも鶏の唐揚げの食感と味がする。

ソイミート 乳がん

おそるべしソイミート。ありがとうソイミート。



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連載「乳がんという『転機』」。筆者は電通 チーフ・ソリューション・ディレクターでForbes JAPANオフィシャルコラムニストの北風祐子さん。

初動から立ち直るまでのブログ的記録。11人に1人が乳がんになる時代、大親友がたまたま医師だったおかげで筆者が知ることができたポイントを、乳がんの不安のある女性たちやその家族に広く共有し、お役に立てていただけたらと考えています。

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文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

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