3月13日のトランプ大統領の「国家非常事態宣言」を受け、カリフォルニア州のニューサム知事は15日の会見で、前週までに出されていた勧告(250人以上規模のイベントの中止など)に加えて、州内の「バー、ナイトクラブ、ワイナリー、ビアホールなどの全面閉鎖」と「レストランの座席数半減」を即刻実施すると宣言。「65歳以上の高齢者と慢性疾患患者の外出自粛」も州民に要請した。
いずれも「勧告」という名目ながら、「州民の自発的な協力が得られると期待するが、協力が得られない場合には相応の措置をとる」と発言。実質的な「知事命令」であることを示唆した。
さらに、全米を驚かせたのは、カリフォルニア州知事の会見の翌日、北カリフォルニアのシリコンバレー地区、すなわちサンフランシスコを含む周辺の6つのカウンティ(アラメダ、コントラコスタ、マリン、サンタクララ、サンマテオ、サンフランシスコ)が共同で、およそ700万人の住民に、3月17日午前0時から4月7日までの3週間にわたり、「必要不可欠な場合以外の外出禁止と自宅待機」という「法的拘束力のある」行政命令(勧告ではなく命令)を出したことである。
Sources:News reports.U.S.Census Bureau(Todd Trumbull/The Chronicle)
同時に、バークレー市とサンタクルーズ・カウンティも、それぞれ6カウンティと同じ行政命令を出し、シリコンバレーのほぼ全域が3週間の地域閉鎖状態に入った。
カウンティの責任者は「これまでのところ世界中でもっとも厳しい措置」との自負を明らかにしたうえで、これが「感染拡大の予防には対面接触をしないことが何より効果的という科学的な根拠とデータに基づいた判断であり、決してヒステリカルな対応ではない」と強調した。
米国流の「Shelter@Home」
とはいえ、こういうときでも「外出禁止」などとは言わないのが米国流である。使われているのは「Shelter@Home(在宅シェルター)」という新しい言葉だ。
その実態は、幼稚園から大学や大学院までの教育機関の全面閉鎖に加え、3月17日からはオフィスやショプも一部の特定業種を除いて、全面的に閉鎖。レストランはテイクアウトのみの営業となった。
地域内の高等教育機関は、すでに全面的にオンライン講義に移行しており、卒業予定の学生が必要な単位が取得できるよう学期末試験もオンラインで実施予定である。高校より下でも、私立の中高一貫校はほぼすべてリモート授業に移行している。
しかし、公立校では準備が整わないところも多く、閉鎖中の児童や生徒の家庭学習についてはまだ検討及び準備中だ。一方、大学進学に必要なSAT(共通学力テスト)は3月予定分が中止され、受験生には大きな痛手となっている。