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2020.03.21

米国各地で外出禁止と自宅待機命令。シリコンバレーでいま起きていること

Jonathan Clark / Getty Images


イタリアやイランに酷似している米国の感染者状況


シリコンバレーは、新型コロナウイルスの罹患者が多い。3月15日現在、6カウンティ合計で290人の感染が確認されており、全米で3番目に感染者の多いカリフォルニア州の、感染者総数の半分以上がシリコンバレーに集中している。

ウイルス・チェックは、キットの絶対数が不足しており、感染が疑われる患者に優先的に使用されるほかは、患者に接する救命救急士など、いわゆるファースト・レスポンダーと医師や看護師など医療専門職に優先的に使用され、一般にまでは行きわたっていない。今後は、知事の肝煎りでキット供給が拡大され、スクリーニングが進む見通しだ。スクリーニングが進めば、感染者数のカウントは確実に増加するにちがいない。

米国で、今後の急激な感染拡大が深刻に懸念されているのは、下のグラフに示されている状況のためである。図はフィナンシャル・タイムズのJohn Burn-Murdochが作成して公開、世界中で引用されているものであるが、感染者数の推移を、対数曲線で国別に示したものである。グラフ作成に使用されているデータは、ジョンズ・ホプキンズ大学のコロナウィルス研究センターが、公開している世界各国発表のデータである。


出典:https://www.vox.com/policy-and-politics/2020/3/13/21178289/confirmed-coronavirus-cases-us-countries-italy-iran-singapore-hong-kong

ピンクの折れ線グラフが米国の推移だ。一覧して明らかな通り、米国の感染者数の推移は、早期対応で国内の感染拡大を食い止めることに成功したと言われているシンガポールや香港にではなく、むしろ急激な拡大を食い止めることができなかったイタリアやイランに酷似している。米国の焦眉の課題は、厳しい対策をとることでグラフの傾きを下げ、イタリアやイラン同様の軌跡をたどることを回避することなのである。

ちなみに、同じグラフで、日本の数値の推移がシンガポールや香港に近似していることについて、米国を始め諸外国は、日本でのウイルス検査の実施率が諸外国に比してきわめて低いために、感染者が少ないのではなく、単に感染が顕在していないだけではないかとの批判的な解釈がなされている。
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文=西村由美子

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