「石油価格の崩壊」をトランプが切り抜けられる3つの理由

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2. 原油価格低下の副作用が、ガソリン価格の低下だ。アメリカ人にとっては、退職年金プランの価値が下がったとしても、ガソリンスタンドでお金を節約できるだろう。ガソリンスタンドでの節約は、はっきり実感できる明らかな違いだ。それは現在のところ、アメリカ人にプラスの影響を及ぼしている。

アメリカ人にとって、ガソリン価格が1ガロン(約3.785L)あたり2ドルを下回るのを目にするのには、気持ちを大きく高める効果があるはずだ。そして一部の州では、それが現実になりつつある。

実際、トランプは3月9日に、「消費者にとっては、ガソリン価格が下がるのは良いことだ!」とツイートしている。さらに、苦境にあえぐ旅行業界や運輸業界(航空会社が中心だが、クルーズ会社も含む)も、燃料価格低下の恩恵を受けることになる。

石油価格が下がりすぎるとアメリカ経済が打撃を受けるのは確かだが、「安いガソリン」がもつ心理的および経済的利点をみくびってはいけない。

3. 石油はまだ地面の下にある。統合や刷新がおこなわれ、おそらくちょうど11月の選挙のころには、より健全な会社が、新たなチャンスを手に入れたり、提供したりするようになるだろう。今回の市場崩壊が起きた時期を考えれば、秋の討論会のころまでに回復する時間は十分にある。そうなればトランプは、その回復をしきりに宣伝するはずだ(そして、ウイルスによる崩壊を神の御業のせいにするはずだ)。ぐらついていたシェール会社は、新しい形でまた浮上するだろう。

統合は、そして破産でさえ、業界を多かれ少なかれ効率化する。なんといっても、2015年から2016年にかけての石油低価格時代が、生産コストの低下と企業の健全化をもたらし、現在のアメリカの記録的な生産量を生んだのだから。2020年に一部の会社がぐらつくことで、同じことが起きるだろう。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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