ビジネス

2020.03.19 06:30

10年で24%減少する旅館。OYOの新ブランドは救世主となれるのか?


インバウンドだけではなく「日本で受け入れられることが重要」


OYOはインドの起業家、リテッシュ・アガーウォール(Ritesh Agarwal)が、「誰もが質の良い居住スペースを利用できるように」と19歳でスタートしたベンチャー企業。

その後、PayPal創業者でベンチャーキャピタリストとして知られるピーター・ティールの支援を受けたことで一気に弾みがつき、2015年にインド最大のホテルチェーンに成長。2019年には世界約80か国で120万室を持つに至り、マリオットグループに続いて世界2位のホテルチェーンとなった。日本には2019年春に上陸。約1年で45都道府県・80都市に拡大しており、客室は5000室以上に達している。

ビジネスモデルはフランチャイズ形式で、OYOに加盟すると、技術、改修工事とデザイン、オペレーション、需要創出、収益管理の5つの面でサポートを受けられる。中でもホテル管理システムの「OYO OS」は、収益増、コスト削減、ゲストの満足度改善につながる機能を有する。

OYO Ryokanもホテルと同様にフランチャイズ形式で展開、同様の支援を受けられる。のれん、立て看板、屋台、ソファになる布団セットなどは「OYO Ryokan」独自ブランディングのものを用意しているが、採用は必須でなく、八木曰く「すでにあるものを壊したくないので、OYOのものの方がよければ使ってくださいとお勧めする」スタンスだという。


三重県熊野市にある「熊野の宿 海ひかり」ではOYO Ryokanに加盟後、フロントにロゴを掲げている。

「日本の旅館体験を海外の顧客に伝えたい」とビジョンを語るシングだが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は旅行業界全体に大きな打撃を与えており、インバウンド頼みの脆さも露呈している。

そのような事情もあってか、OYO Hotel Japanでチーフ・ビジネス・オフィサーを務める田野崎亮太は、「日本中心に展開したい」という。「OYO RyokanもOYO Hotelsも、まずは日本の人に親しんでもらうブランドでなければ生き残っていけない」とし、日本の顧客を主なターゲットにデジタルで広告、その後TVコマーシャルを展開していくという考えを示した。

旅館の歴史は奈良時代に遡るというが、OYOの技術とブランドでどう生まれ変わるのか? OYO RyokanはOYOのアプリなどを通じて、26都市1000室以上で利用できる。

文・写真=末岡洋子

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