Facebook参入で見えた「IoT戦国時代」の到来

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フェイスブックは、先日の開発者カンファレンス「F8」において、新たに導入するParseプラットフォーム用アプリの開発者キット(SDK)の提供を発表した。

「Parse for IoT」と呼ばれるこのSDKを使えば、デベロッパーらは簡単にIoTアプリを開発できる。IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)の略。我々の身の回りのあらゆるデバイスをネットに接続するという、今注目のキーワードだ。フェイスブックはスタートアップ企業のParseを2年前に買収していた。

「私たちの使命は、モバイルを超え、あらゆるプラットフォームでアプリ開発を容易にすることだ。そして、今最もエキサイティングな領域の一つがIoTだ」とParse創業者のジェームス・ユーはブログで書いている。

「様々なハードウェアがクラウドに接続されることで、世界がより良くなると信じている。睡眠を快適にしてくれるウェアラブル機器から、糖尿病患者のインスリン投与を管理するトラッカーまで、人々の生活を変えるデバイスが既に生まれている」とユーは言う。

今回のカンファレンスでは、Parseを採用した取り組みの一つとして、Roost の事例が紹介された。Roost はWiFi内蔵のリチウム電池で、専用のスマホ用アプリと連携する。家庭の火災警報機にRoostを入れておけば、火災を感知した際にスマホにアラートが届く。さらに、火災警報器のバッテリーが低下した際にも通知してくれる仕組み。6月にはさっそく、発売が予定されている。

こういったデータは近い将来、フェイスブックの広告事業にも有効利用されると見られている。グーグルのNest買収に関しても、同様な意図があると思われる。Roostのロエル・ピータズCEOは次のように話す。

「フェイスブックのParseプラットフォーム公開により、IoTの分野は飛躍的に成長する。開発者らが用意にアプリを提供できる場所を提供することで、新規参入も促進される。今後10年で登場する、新たなデバイスを囲い込むことになる」

もう一つのParse採用企業が、Chamberlainというガレージドアの自動開閉装置のメーカーだ。同社は、ユーザーの自宅のガレージとスマホを連携させる手段としてParseを活用する。「詳細はまだ公表できないが、Parseは新たな顧客管理の方法を提供してくれる」と同社の担当者は語ってくれた。

「アップルやグーグル、そしてフェイスブックが相次いでIoTへの取組みを開始した。我々の視点から見れば、フェイスブックも我々の接続先の候補の1つに過ぎない」

今や大手ハイテク企業のほとんどが、IoT市場への取り組みを模索している。ハードウェアを開発する企業もあれば、バックエンドのエコシステムの開発する企業もある。しかし、まだ誰もが明確なビジョンを描けてはいない。サムスンのCEOのBoo-Keun
Yoon氏は今年のCESのキーノートの持ち時間全てを、IoTの話題に割いた。

「IoTはもはやSFの世界の話なんかじゃない。今そこにある、リアルな現実なんだ」

文=アーロン・ティリー(Forbes)/翻訳編集=上田裕資

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