金融教育は投資教育ではない。お金について子どもにどう教えればいいのか

Mint Images / Getty Images


ニュース番組をきっかけに会話を


家庭での金融教育は、テレビを見ながらでもいいかもしれない。いまニュース番組を見ても新型コロナウイルスの話題ばかりかもしれないが、その関連として経済関連のニュースも増えている。

たとえば、日経平均やNYダウといった各国の株価指数が大幅下落といった株式市場に関するニュースもあるし、それに対して日本銀行や米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和策を発表したといったニュースもある。

もう少し日常生活に近い話題としては、新型コロナウイルスの影響で百貨店の売上が減少していることや、学生の内定取り消しや求人数の減少などのニュースもあるだろう。

このようなテレビのニュースをきっかけに、「株価ってなんでこんなに下がっているの?」という話でもいいし、「みんなが外出やイベントを自粛すると、どんな影響が出るのだろう?」といった話を家庭でしてみるといいだろう。

筆者が親御さんに家庭で子どもとどれくらい会話をしているか尋ねると、「なんでそんなことを聞くのか?」と不思議そうな顔をされることがよくあるが、まずは、子どもと十分な会話の時間を持てているかどうかが重要なのだ。

しっかりと会話をできているのであれば、そのなかでこのような経済に関する話題を取り上げていくだけでもいいのだ。

とはいえ、1つだけ親として気をつけたいのは、ニュース番組の内容をそのまますべて鵜呑みにすることはやめたほうがいいということだ。

データは切り取り方や分析方法次第では、さまざまな見方ができてしまう。意図的かどうかは別として、偏った形で報道されたりすることも多いし、間違っている内容が報じられることも少なくない。子どもに調べることの重要性を教える意味でも、極力一次情報に当たることをお勧めする。

子どもと会話を始めて、親がイライラしてしまうことの1つに、子どもの「なぜなぜ攻撃」がある。ある程度コミュニケーションを取れるようになると、子どもの質問攻めに嫌気がさしてしまうかもしれない。

さらに言えば、子どもの質問というのはシンプルに確信を突いてくることもあるため、親がかなり経済知識への理解度を深めないと、わかりやすく教えられなかったりもする。

しかし、そこでイラついてはいけない。常に疑問を持つ習慣は、親も持つべき姿勢である。わからなければ子どもと一緒に調べて、答えを見つけ出すのも教育の1つとなるにちがいない。

連載:0歳からの「お金の話」
過去記事はこちら>>

文=森永康平

ForbesBrandVoice

人気記事