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The Breakthrough Company GO 三浦崇宏(右)、同 鶴見至善(左)、株式会社CAMPFIRE 篠原陽子(中央)


個人がマスメディアに広告を出せる!

それまでは受け手の役割しか担えなかった個人が、新たなサービスの登場で、今度は送り手の立場に立てるようになる──。テクノロジーの急速な進化と普及によって、こうした変化がさまざまなエリアで起きている。メディアの分野ではインターネットとSNSによって個人が表現者・発信者となったし、ものづくりの領域では3Dプリンタが個人をユーザーからメーカーへと変えつつある。

これと同様の「革命」の波が、広告の世界にも及んできている。広告を出稿できるのは大きな資金力を持つ組織に限られ、彼らが打つ広告を個人はただ受け入れるのみ。そんな現状を根本から変える広告サービスが始まった。“The Breakthrough Company”を標榜するGOとクラウドファンディング国内最大手のCAMPFIREとが業務提携して提供する「AD FOR ALL」だ。

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個人がマスメディアへ広告を出したいと考えたとき、AD FOR ALLを利用すれば、次のようなことが可能になる。

・CAMPFIREのクラウドファンディングを利用して、賛同者から資金を集める
・広告を掲載したいメディアの広告枠の確保
・広告デザインなどクリエイティブ面についてGOの知見を活用できる

豊富な予算を持つ企業が、広告代理店に依頼して広告を制作して世に送り出すのと同じプロセスを、個人でも実現できる。それがAD FOR ALLということになる。

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AD FOR ALLの広告出稿プロセス。プロジェクト実現のため、メディアとの交渉、広告費用のクラウドファンディングをAD FOR ALL事務局(CAMPFIRE/GO)がサポート。広告メッセージやデザイン制作もサポート可能(別途料金等が発生)

「SNSでメディアが民主化され、ブロックチェーンで通貨まで民主化されようとしている時代なのに、広告はいまだに、企業が代理店に発注して個人に向けて情報を発信するという一方通行だけ。だから、広告が民主化できないか、個人が誰でも広告を出せるようなサービスをつくれないか。そう考えて立ち上げたのがAD FOR ALLです」

このように語るのは、GOの代表取締役・三浦崇宏だ。クリエティブディレクターやPRプランナーとしても知られる三浦の率いる同社のミッションは、「あらゆる社会の変化と挑戦にコミットすること」。今回は、自らの事業の根幹である広告そのものの変化に挑戦する。

「広告というのは一般の方からするとブラックボックスで、お金さえあれば誰でも出せるというものじゃない。個人では取引できないとか、実績がないと出稿させてくれないとか、壁があります。だからAD FOR ALLではテレビ、ラジオ、新聞など、事実上ほとんどすべてのマス広告を個人が出稿できる体制をつくりました。これは本当に広告の革命だと自負しています」

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The Breakthrough Company GO 代表取締役 Creative Director 三浦 崇宏

実際、3月4日にローンチを発表した時点ですでにパートナーとして、テレビ広告の代理店事業を手がけるラクスルのほか、ニッポン放送・ZIP-FMというラジオ2社、朝日新聞社・福島民報・東京新聞・西日本新聞の新聞4社など、幅広い顔ぶれがそろっている。さらに屋外広告の展開まで可能だ。

なぜクラウドファンディング最大手と組んだのか

三浦と同期で博報堂に入社し、現在GOでコピーライター・クリエイティブディレクターを務める鶴見至善もAD FOR ALLの担当。「広告代理店も媒体も、個人という単位での出稿をほとんど受け付けていません。今回は間にGOなどの法人が入りAD FOR ALLというプロジェクトを通すことで、個人に対して初めて広告という門戸が開かれた。そこが新しい点です」と語る。

鶴見によると、これまでも個人が集まって有志一同や制作委員会といった形をとって広告枠を買うことはあったという。ただ、そうやって個人が広告を出す場合、どうやってお金を集めるか、集めたお金をきちんと目的に沿って使えるかといった難しさがあった。

ところが、こうした心配をする必要がAD FOR ALLでは、ほぼない。というのも、AD FOR ALLをGOと共同で展開するのは、クラウドファンディングサービスの草分けとして知られるCAMPFIRE。広告を出稿するための資金の調達や管理にはCAMPFIREのプラットフォームを利用するため、資金を集める・使うという面でも信頼性が高い。

そもそも、AD FOR ALLというサービスからして、GOの三浦とCAMPFIREの代表取締役CEO・家入一真という、ふたりのリーダーの会話の中から具体化してきたプロジェクトだ。その経緯を三浦は次のように教えてくれる。

「家入さんとは個人的に親しくて、去年の秋ごろ話していたときに韓国のセンイル広告(誕生日広告)や応援広告が話題に出たんです。日本でもできたらいいねという話を僕がしたら、家入さんもこういうのをウチでやりたい、と。考えてみたら、CAMPFIREさんには資金の調達・管理のシステム、それに数多くの個人とのネットワークがあるし、GOには広告やメディアとのネットワークがあって、個人が広告をつくりたいとなったときのサポートもできる。じゃあやってみよう!となりました」

CAMPFIREはクラウドファンディングを通じて資金調達を民主化してきた会社であり、AD FOR ALLは広告を民主化するプロジェクトである。そう考えれば、GOとCAMPFIREが手を携えたのは、ごく自然な流れに思える。

CAMPFIREでAD FOR ALLを担当する篠原陽子は、「実は当社も3年くらい前、AD FOR ALLと似たような取り組みをやったことがありました。ただ、そのときはまだ時代が追いついてなかった。個人が広告を出せるということが理解されていなかったし、そもそもクラウドファンディングの認知も今ほどありませんでしたから」と明かす。

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株式会社CAMPFIRE CAMPFIRE事業部 事業部長 篠原 陽子

「AD FOR ALLは、発表から2時間で問い合わせが何十件も来たり、ツイッターで話題になったりと、反応がその時とは全然違う。個人のリテラシーも上がっているし、今回は広告業界の方からも問い合わせが来ている。個人で広告を出すという考え方が、個人の側にも広告業界側にも浸透してきていると感じます」(篠原)

最初に壁を乗り越えたのはアイドルマニア

この変化の背景について、GOの鶴見は、AD FOR ALLが生まれるきっかけにもなった、韓国で盛んなセンイル広告をからめて、次のような見方を示す。

「アイドルの熱狂的なファンたちが、アイドルの誕生日に個人個人でお金を出し合って広告を出すのがセンイル広告。日本にも2015年あたりから同じような動きはあって、解散を表明したSMAPの存続を願うファンや、引退を発表した安室奈美恵を応援するファンが広告を出したことはニュースにもなった。日本のアイドルファンの間でも個人で広告を出したいという熱はふつふつと高まってきていましたね」

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The Breakthrough Company GO Copywriter/Creative Director 鶴見 至善

実のところ、鶴見自身も、好きなアイドルを応援するために会社を設立。国内で誕生日広告も出している。「僕の場合、自分自身が広告業界の人間であり、知り合いにデザイナーもいれば、広告枠を売っている人もいるので、個人で広告を出すことができました。しかし、普通の人が同じことをやるのは、ものすごくハードルが高い。それでも頑張ってやっている人もいる。それなら、これをシステムとしてできるようにしたら……と考えていました」

プロが「想像もしなかった」広告は日本の景色を変えていく

アイドルを応援するファンたちの欲求が、この広告の革命の原動力のひとつになったことは確かだが、AD FOR ALLは、アイドルファンたちのためだけのサービスでは、もちろんない。CAMPFIREの篠原は、「幅広く、気軽に広告を出せることがポイントなので、タレントさんの応援だけではなく、お友だちの結婚祝いや転職祝いでも使っていただけます。広告って、もっと気軽に出していいんだという理解が広まってくれるいいなと考えています」と語る。

結婚祝いに代表される冠婚葬祭の分野には幅広いニーズがあるし、組織中心から個人中心への転換が進むビジネス分野でも、個人が出す広告への関心は強い。実際、ビジネスパーソンの転職を祝う広告についてAD FOR ALLに早くも問い合わせが入っている。このほかにも、料理はおいしいのに客足が伸びないという飲食店の広告を常連客が出したり、逆に、惜しまれながら閉店する店にファンが広告で謝意を表したりという使い方だってあるだろう。GOの鶴見は、「アイドルの応援広告に限らず、むしろカオス(混沌)を待っています。『え?誰に、何のために出したいの、これ?』という企画がいっぱい来るといいですね」と期待している。

今までの広告が「広く告げる」ものだったとすれば、GOが目指すのは「広く告(コク)る」広告であり、AD FOR ALLもまた、そんな広告を生み出していくサービスだと三浦は言う。鶴見も、「プロポーズは本来、私的なものだが、公開プロポーズということも成り立つはずだ」と述べ、アイドルにせよ友人にせよ、仕事仲間にせよ馴染みの店にせよ、自分が好きだと思う対象と自分との関係を世の中に広く「告る」ことができるのがAD FOR ALLだとする。

「これまでの『売りたい』『儲けたい』という広告ではなく、『人を喜ばせたい』という広告が増えるわけですから、本当に日本の広告は変わりますよ」(鶴見)

「広告の革命とか広告の民主化とかいうと堅苦しいんですけど、広告が面白くなればいいし、広告が面白くなることによって街がもっと面白くなるといい、世の中がもっと面白くなればいい。今は広告も街も世の中も、なんかつまらないでしょう。僕らが想像もしなかったAD FOR ALLの使い方が溢れてくれたら、もっと素敵ですね」(三浦)

AD FOR ALLでは発表とサービス開始から10日ほどのうちに3件の案件がCAMPFIREでのクラウドファンディングを開始。昨年4月に活動を休止したアイドルグループ「9nine」への応援メッセージ広告を、駅貼り広告として掲出するプロジェクトは、早々に目標を超える支援額を集めて募集を締め切った。

出稿先は国内にとどまらない。韓国のヒップポップアーティスト、Jay Parkの誕生日を祝いたいと願う日本のファンたちが立ち上げたプロジェクトでは、韓国の地下鉄駅が舞台となる予定だ。また、芸能関連以外の分野でも、名古屋・錦に友人がオープンさせる油そば店の集客広告を店の周囲に貼り巡らすという案件が動き始めているという。

こうしたプロジェクトは早くも4月に、広告として世の中に姿を見せる。AD FOR ALLで変わるのは日本の広告だけではない。日本そのものも変えていくことになるだろう。

The Breakthough Company GO
https://goinc.co.jp/

Promoted by GO / text by 中野條 / photographs by 西川節子

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