世界のスターたち御用達。ミラノ郊外の「隠れ家」シャトーホテル

丘陵の中に建つシャトーホテル「ラルベレータ ルレ・エ・シャトー」(ルレ・エ・シャトー提供)


異なる素地の人材たちが「渾然一体」となりうる場所


「つまり、信頼できる人材と、異色のロケーションの両方が求められているんです。われわれはこの仕事に必要な時間、方法、ロジックを熟知しています。だからこそすばらしいシェフ、建築家、ウェルネス業界の権威といった、異なる素地の人材を『共存』させることができる。具体的には、栄養学の専門家アンリ・シェノやシェフのバルトリーニ、ピザ職人のフランコ・ペペといった逸材に、一緒に仕事をしてもらえ」

まさに鉄板のビジネスモデルだ。



「これからもイタリアのものに目を向けて、成長したいと思っています。私も妻も、新しいことに挑戦して自分を試したい気持ちがあるんです。イタリア的な価値観が、モデルになり得るのか見定めたいんです。世界のホスピタリティ業界で『イタリア』を武器に大きく成長していけたら、と。

高品質のホスピタリティを世界レベルで試して、われわれの『もてなしスタイル』が機能するのか、市場で受け入れられるのか見てみたいんです。そこからおそらく得られる多くの知見や世界的な視野とともに、ビジネスの歩調、スピードも加速していきたい」

しかし、ロンドンやニューヨークで、「ラルベレータ」そっくりの空間を期待してはいけない。

「その場所のアイデンティティがあってこそ愛される空間というのを考えています。それでいて、そこで実際に過ごせばわれわれのモデルだというのがすぐわかるような。必ずしもラルベレータと晴々しく名乗ってはいなくとも、提供するサービスをよく見ればそうだとわかる。世界各地にレストランを5、6軒作れたらうれしいですね。そのためには、その場所ひとつひとつに合ったシチュエーションやシェフを見つける必要があります。それぞれ、ロジックや習慣が違いますから」



これこそが彼の「イタリアの価値ある人材、素材を吸引するパワー」を発揮できるプロジェクトだ。マルティーノは言う。

「イタリアには、職人によるすばらしい文化があります。ガストロノミーの世界も常に、個人の成功によって作られる。しかし、そうではなくて、『集まることが力になる』、組織の力も発現しうることを、考える必要もあるんじゃないでしょうか。私はそのための『つなぎ役』でありたいんです。すでに、偉大なシェフたちといっしょに仕事をするなかでやってきたことです。新しいものを生み出す必要はなくて、必要なのは単にプラットフォームであり、ショーウィンドウなんです。あとは経済的なサポートが少しあれば、ですね」

文=Marco Barlassina 翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=ルレ・エ・シャトー提供

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