実際にその人が開発した、オンラインで確認できるプロダクトがあるか。どこまで関わっていたかは見えない部分もあるので、それほど強いシグナルとはならないかもしれませんが、少なくともある程度の指標になります。最低でもこれらのプロジェクトについて具体的な詳細を聞けば、その人の役割をより把握できるでしょう。
趣味でコードを書いているか。ときどき私たちはエンジニアの方々に「最近どのような趣味のプロジェクトでコーディングをしたか」や「どのようなプログラミング言語を学習しているのか」と質問することがあります。もし彼らの目が輝いて、しばらく語ることができるなら良いサインです。
あなたが評価すべきもう1つのポイントは「経営者としてのポテンシャル」です。理想的を言えば、技術担当の共同創業者が他のすばらしいエンジニアたちを採用してマネジメントできることが望ましいはずです。そうした能力を評価するときに考えるべきことをいくつか挙げます。
・これまでの開発プロジェクトでどのような役割を担っていたか。他のエンジニアたちをリードしていたか。何人ぐらいのチームを束ねていたか。それらのプロジェクトは成功したのか。
・他のエンジニアたちがその人と一緒に働きたいと思うかどうか。一緒に働いていた人々が他の会社までついてくるなら、それは間違いなく良いサインです。資金調達が成功したときに誰を雇いたいか、そして給料を出すための資金を確保できたとき、その人たちはジョインすることに同意していますか、と聞くこともあります。
・コミュニケーション力があるか。どのようにプロダクトを作るのか(どのプログラミング言語や技術を使うのか、そしてそれはなぜなのか)を非技術系であるあなたに対して説明するよう求めてみましょう。もし何をしているのかをあなたが理解できる簡単な言葉に噛み砕いて説明できるなら、それは良いサインです。
あなたの1人目のエンジニアが必ずしもマネージャーとして優秀である必要はありませんが、少なくとも実際どうなのか理解しておくべきでしょう。スタートアップでは最初のエンジニアに「CTO」のタイトルが与えられがちです。この「タイトル・インフレ」の問題は、その人が長期的に組織とともにスケールできるかどうか分からないということです。
その人はスーパープログラマーかもしれませんが、他のエンジニアのマネジメントができるでしょうか。もし確信がないなら、「リード・エンジニア」のようなタイトルから始めるのが良いかもしれません。リードする能力を発揮したときにCTOへの昇格を伝えるのは、たやすくてワクワクすることですが、後になってからCTOからの降格を伝えるのは難しくて気が滅入るものです。
技術系のメンバーが会社の未来に対してどれほど重要な要素なのかを考えると、自分たちの技術チームがこれまでに何を成し遂げてきたのかについて、ほとんど何も知らない非技術系創業者が多いというのは、私には驚きです。
言うまでもないことですが、エンジニアなら誰でも同じということはありませんし、誤った人をパートナーに選ぶことは自滅につながる意思決定となり得ます。時間と労力を惜しまず、あなたのプロダクトを作っていくことになる人について知りましょう。
連載:VCのインサイト
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