個人も法人も「共犯者」として巻き込む、オールユアーズの吸引力。企業向けプログラムも発表

オフィスでの「オールユアーズ」試着会

コロナショックで一気に暗雲たちこめる日本経済。ファッションの分野でも、感染拡大防止のため、今月に予定されていた2020年秋冬の東京コレクション(楽天ファッションウィーク東京)が中止になるなど、大きな影響が出ている。

この数週間、不要不急の外出を控え、自宅でリモートワークや家族と向き合う日々が続く中、人々の価値観にも少なからずパラダイムシフトが起きようとしているのではないか。

あたりまえは、変えられる


この混乱の中、2015年設立のアパレルブランド「オールユアーズ」(ALL YOURS、東京都世田谷区)が17日、「スイッチスタンダードプロジェクト(Switch Standard Project)」と題し、こんなステートメントを発表した。

オールユアーズ

あたりまえは、変えられる。
予測できない世の中で
世界を変えるのは難しいかもしれない。
でも、ちょっとした心のありようで、
少しの行動だけで
自分は変わることができる。
それだけで世界は違って見えるはず。
あたりまえは変えられる。
もし、あなたがそう望むなら。

ファッションのスタンダードを変えていきたいというこのプロジェクト。ファッションとしての服ではなく、生活に寄り添った実用品としての服を提案し、過去にはクラウドファンディングで総額5000万円以上の支援を達成するなど、すでに様々な挑戦を実現してきたオールユアーズらしい提案だ。

性別差・身体差をなくす


その概要は以下の通り(一部抜粋)。

・性別差の廃止:メンズ・ウィメンズの考え方を廃止し、統合。
・身体差の廃止:既存のサイズに合わない人に対して、受注生産での対応と、体型に合わせたカスタマイズを進める。
・体験する場所の拡張:自宅での試着を推奨する。
・よりよい社会のために:「ただ儲ける」のではなく、社会に意義あるアクションを選択する

個人も企業も「共犯者」に


具体的には「オールユアーズ公認共犯者」として、ブランドに共感する人を募集する。すでに第1期の募集は終えており、今回第2期として募集開始する。「共犯者」になるとオリジナルの名刺が発行され、非公開情報が共有されるほか、プロジェクトへの参加権が付与されるといった、ブランドと顧客を超える関係値を築くことができる。

特筆すべきは企業やチーム向けのパートナーシッププログラムだ。個人だけでなく、企業に対しても「共犯者」として公認し、メンバーはいつでもオールユアーズ製品を割引で購入可能とした。

年に数回、オフィスなどでの体験試着会も開催するほか、オールユアーズ製品をベースにしたグッズ製作も相談できる。社員の企業へのエンゲージメントが問われる今、福利厚生の一環として採り入れる企業も出てきそうだ。
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文=林亜季

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